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ー至福ー78
最初の頃は舌を絡めた長いキスの仕方を知らなくて、俺は息が続かなくなってしまっていたけど、今はもうそのキスにも慣れたからなのか鼻で呼吸し、どんなに長い時間であろうと長いキスに耐えられるようになっていた。
だが長いキスに耐えられるようになったと言っても、雄介の唇が離れた時には口呼吸を繰り返し肩でも呼吸を繰り返していた俺。
そして雄介の方もエンジンが掛かって来たのか、俺が呼吸を整えている間に、雄介は自分が着ていた服を脱ぎ、それをベッドの下へと落とすのだ。
本当に雄介の体っていうのは未だに筋肉が劣ろってないようにも思える。
程よくある胸筋。 六つに割れている腹筋。
男からしてみたらバッチリの体型だ。
二の腕だってカッコいい位に筋肉が付いているのだから。
「望も服脱ぐか?」
そう俺の方もまだ中途半端な状態でもある。 服を前だけはだけさせている状態なのだから。
だけどどうする? 雄介に脱がしてもらうのか? 俺自ら脱ぐのか? それなら雄介に逆に聞いてみようかな?
「なぁ、雄介……自ら脱ぐのと雄介に脱がしてもらうのとどっちがいいと思う?」
その質問に雄介は軽く腕を組むと手を顎に当て、
「んー……そやなぁ?」
天井にまで視線を向けてくれているのだから、本当に本気でその俺からの質問に答えてくれようとしてくれているのであろう。
そして暫くして雄介の中で考えが纏まったのか、俺の方へと視線を向けると、
「ほなら、俺が脱がしてってええか?」
と言って来る。
そんな雄介に俺は、自分から質問したのだから、
「じゃあ、お前が俺の服、脱がしてくれよ」
と言うのだ。
本当に今に俺っていうのは素直な気持ちで雄介にそう言っている。 寧ろ俺から質問したのだから嫌だとは言えない。 だから素直に答える事が出来たのであろう。
俺は半身を起こすと少し上目遣いで雄介の事を見上げる。 もう『脱がせて』と言わんばかりの表情でだったのかもしれない。
そんな俺に気付いたのか雄介は俺に向かって軽く微笑むと、ゆっくりと俺の着ていた服を脱がして行くのだ。
人に洋服を脱がしてもらうなんて事、何年振りなんだろうか。
いや今までにこういう行為をしている時に雄介は俺の服を何回も脱がしてくれたのかもしれないけど、こう俺自ら雄介に「脱いで」と言って脱がして貰った事は無かった筈だ。 だから俺は何年振りと感じてるのであろう。
しかし雄介っていう人間は性格が優しいからなのか、脱がす時だって丁寧でゆっくりとだ。
両肩から手首の方へとゆっくりと服を下ろして来る。 そして手首まで下ろされた後は片方ずつ脱がしてくれるのだ。
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