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ー至福ー77

 だけど急にそこを吸って来るのは、ずる過ぎる。 この行為で俺がわりと弱い部分なのだから。 いや寧ろ人間そこを吸われたら絶対に弱い部分だと思う。  雄介の方はもう一度、俺の弱い部分を吸って来るのだ。 しかも雄介にしては珍しくにやにやとしていたようにも思えるのは気のせいだろうか。  そこはやはり雄介も男だという事だろう。  普通、女性とこういう行為をする時っていうのは、男性がリードしてにやにやとするのが当たり前なんだろうけど、やはり好きな人を前にしたら誰しもにやにやとしてしまうのが当たり前なのかもしれない。 そんな気配、今まで雄介にはなかったのだけど、俺に慣れて来たっていう事だろう。 もう結婚する相手になったのだから本当に本性を出してもいいとも思ったからなのかもしれない。  そんな雄介に対して軽く鼻先で笑う俺。  そうだって今の雄介っていうのは嘘偽りも無い雄介だからだ。 隠し事も何も無い雄介。 それについては今さっき話もしたばっかりだし、きっと今の雄介っていうのはそれを実行してくれているという事なんであろう。  だからそれに気付いた俺っていうのは嬉しくなって鼻先で笑ったという事だ。  しかし今日の雄介っていうのは容赦無い。 そんな風に俺が考え事している間にも雄介の行動がエスカレートしているのか、吸う強さも指先で胸の突起を摘む強さもいつもに増して刺激が強く感じるような気がする。 いやもしかしたら雄介からしてみたら普通の強さなのかもしれないけど、俺がそう感じているだけなのかもしれない。 だって今日という日のこの行為は隠し事の無い雄介だからだ。  心の中をスッキリした状態で雄介に抱かれているのだから、いつも以上に感じているという事だろう。 それなら俺の方は素直に雄介に抱かれた方がいいと思っているのであろう。  だから俺は雄介の頰を両手で包むと、自ら雄介の唇へと唇を重ねる。  雄介の唇はツルっとしていて、そして甘い。 何回も唇を重ねて来たけど、今日のキスはいつも以上に甘く感じるのは気のせいであろうか。  俺はゆっくりと雄介の口内に舌を忍ばせてみる。 こう自分から絡ませにあまりいった事がないからなのか俺の鼓動というのはいつも以上にドキドキと波打っている感じがする。 俺が雄介の口内へと舌を忍ばせると、雄介の方はもう慣れた感じで舌を絡めて来るのだ。  せっかく俺が珍しく先に舌を絡ませに行った筈だったのに、気付いた時には雄介主導権で舌を絡まされていた。  暫く雄介には俺の口内で遊ばれ、暫くした頃には瞳を潤ませて俺は雄介の事を見上げる。

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