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ー至福ー85

 きっと今までの俺というのは雄介という人間を信じていなかったからなのかもしれない。 だけど結婚する、しないの話がきっかけにお互い深い話をする事が出来て恋人でいる時以上に安心したのであろう。  やはり恋人と婚約や結婚っていう言葉の重みが違うと思う。  恋人同士はまだお互いにまだそんなに信じ合ってないというのか、まだまだ結婚相手を探し中なのだからお互いの関係というのは深い物ではないような気がする。 そして婚約まで来れば将来的にもお互いの事を知らなきゃならないのだから、もう信じていかないといけない段階なんだと思う。 最終的に結婚まで来るとお互いを信じ合わないといけないんだと思う。 これからの人生ずっとそのパートナーと一緒にいる事になるのだから。  だから今日は雄介との結婚について深く話し合った。 話し合って俺達は結婚するって事を決意した日でもある。 そしてお互いにもっともっと知りたいとも思った日でもある。  確かに俺は雄介の性格というのは、この十年付き合って来て分かってるつもりではあるのだけど、まだまだ分かってない所だってある。 それに結婚するのなら、もっと俺の事を知って欲しいというのか、もっともっと俺の事を欲しいとかって思ってくれたらとかっていうのがあるのかもしれない。  いや寧ろ俺からしてみたら雄介という人物を誰にももう取られたくはない。 だから急に独占欲みたいなのが出てきてしまったのかもしれないという事だ。  今は本当に俺は雄介の事が好きだ。  本当に今までの俺っていうのは、人をこんなにも好きになった事はなかった。 だから独占欲っていうのも無かったのであろう。 そして今日という日は、俺からしてみたら本当に大事な日にもなったのかもしれない。 そうだきっと余計に雄介に対して好きだっていう気持ちが爆発しているという事だ。  雄介に触れたい。 雄介は俺のもんだって自分に教えたい。 今日の俺っていうのは、そんな気持ちで動いているのであろう。  雄介の事をベットの上へと押し倒して、俺は雄介のお腹の上へと乗っかる。 ちょっとだけ独占している気持ちにもなってくる。 だって俺が雄介のお腹の上に乗っかってるっていう事は、雄介はなかなか動けないっていう事だろ。  そして俺の方はこういつも以上に色っぽい瞳で雄介の事を見つめるのだ。 そんな俺の表情に雄介の方は気持ち的に顔を赤くしてそっぽを向いてしまっているようにも思える。 寧ろ俺のそんな表情を見ていられないっていう感じという事なのであろう。

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