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ー至福ー100
俺達の方もだけど和也達の方も、今日は話し合われるんだと思うと安心して来たような気がするのは気のせいであろうか。
だからなのか俺は急に甘えたくなったのか、さっきまで雄介とは反対側にある肘掛けに寄り掛かっていたのだけど、今は雄介の肩へと頭を寄り掛からせるのだ。
こういう事というのが、恋人にとって幸せなひと時と言うのであろう。
雄介の方も、もうこう甘えて来た俺に驚くという事が少なくなってきたからなのか、テレビに視線を向きながら俺の頭を撫でているだけだ。
そんな温もりの時間というのは、気持ちいい時間ともいうのかもしれない。
「たまには、こういう時間っていうのもいいよなぁ?」
「……へ? あ、まぁな……」
きっと今の雄介の反応っていうのは、一瞬、焦ったけど、持ち直して答えたっていう所だろう。
「ま、たまには俺達だって、こういう休息な時間っていうのか、恋人みたいな甘々な時間があったってええんやないの?」
「え? あ、まぁ……そうだな」
俺の方だって負けてはいない。
そう雄介も俺と甘い時間を過ごしたいと思っているからなのか、優しくて甘い声で言ったんなら、俺だってそんな時間を雄介と過ごしたいと思っているのだから肯定的な返事をするのだ。
これで暫く甘い時間を雄介と一緒に過ごせるのだから。 肯定的な意見がいいというのはもう何年も一緒に来ているのだからいい加減、俺の方も分かっているのだから。
「そういや、まだ、望と付き合い始めた頃にも、こないな事あったような気がするなぁ」
「……へ? そうだったのか?」
そう俺の方は驚きの声と共に、雄介の事を見上げる。
「まぁな……。 あん頃は付き合い始めたばかりで、今みたいに望から甘えに来るって事はなかったんやけどな。 そん時は手術かなんかが入っておるとかで、疲れて帰宅した日やなかったかな? あ! そや! 俺が望の所に毎日のように通っておって、体調崩して風邪を引いた翌日の夜ご飯食べてからやったかな? 望とソファでコーヒーでも飲みながらテレビ見ておったらな、望はカップを持ちながら寝てもうて、俺が気付いた時にはカップをテーブルの上に戻したから溢れないで済んだんやけどな」
「そっかぁ……そんな頃もあったんだなぁ。 って、俺、その頃に比べたら、ツンデレじゃなくなっただろ?」
その質問に雄介は一瞬吹きそうになっていたのだけど、
「何言うてんねん……俺は望が記憶喪失になってから、心に決めたんやからなぁ。 どんな望でも絶対に離さへんってな」
「ま、そこは、雄介らしいよなぁ? そういや、記憶喪失だった俺って、どんな感じだったんだよー?」
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