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ー至福ー103
それでも俺の方は雄介の事を直視する事は出来ずに、完全に雄介とは反対側を向いて体を洗い始める。
それでも俺の鼓動というのは波打ち始めていた。
流石に雄介とお風呂に入るのは未だに緊張しているようだ。
確かに俺的には全然雄介の事は好きだ。 だが、緊張とは違うような気がするのだから鼓動が波打っているという事だろう。 そして俺の方は緊張している為か黙ったままだった。
とそんな時、背中越しに雄介が、
「ホンマ、今日は和也達も真剣に結婚について話するんやろうな? でもな、もし、和也達が結婚はしないっていう事になったら、別れてまうんやろうか?」
「……へ?」
俺の方は雄介のその一言で、雄介の事を見上げる。
「流石に、あの二人が別れる訳ないんじゃねぇのか?」
「ま、そうやと思うねんけどなぁ。 それは、もしもっていう話でさ……」
何だか雄介の様子が少しおかしいような気がする。
こう雄介の性格上、ネガティブな発言というのはしないからだ。
そこに首を傾げながらも、体等を洗い終えた俺達はお風呂から上がる。 そして二階へと上がり今日の体を休める為にベッドへと横になる。
本当にこの島に来てからっていうのは、自然の音しか聞こえて来ない。 それが人間からしてみたら心地いいのか、いつに間にか眠りの中へと吸い込まれて行く感覚がある。
俺はそんな自然に浸りながらボッーとしていると、
「ホンマ、俺達が結婚出来るような事になるなんて思ってもみなかった事やんなぁ。 過去の俺達に教えて上げたい位やわぁ……」
そんな雄介の発言に俺の方はクスリとし、
「まぁ、そうだよなぁ。 もし、タイムマシンみたいなのがあって、それを、過去の俺達に言う事が出来たら、どんな反応するんだろうな。 って、雄介だったら、どんな時代の俺達に、そんな事を伝えたいんだ?」
「……あ、そうやんなぁ? 一番最初の俺達になんかな?」
「そんな俺達に言ってしまったら、絶対に俺が、『そんな訳ねぇだろ? 俺達が結婚なんてする訳ないじゃねぇか』って言ってツンっていう態度取るんじゃねぇのかな?」
その俺の言葉に雄介はプッと吹き出してしまっていた。 きっと雄介からしてみたら、今俺が言った台詞がまんまだっていう事でなんであろう。
「確かに、それ、ホンマに望やったら言いそうやわぁー。 って、望……記憶の方、大分戻って来たんと違うの?」
そう急に興奮気味に雄介はそう言って来て、今まで天井の方に視線を向けて話をしていた雄介だったのだけど、それを横向きにさせて言って来る。 しかし本当に俺と雄介の距離というのは、こんなにも近くなったのかと思う位の距離感だ。
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