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ー至福ー119
「え? だからさ、代理出産は可能な訳だから、俺の精子を雄介のお姉さんの中で育ててくれれば、雄介と雄介のお姉さんのDNAは似てるんだし、それなら、俺と雄介の子供って感じがしないか?」
「あ! そういう事なぁ」
その説明で和也も裕実も納得したようだ。
「それで、もしかしたら、俺達の方はもう一回、東京に行かないとならないのかもしれないんだよな」
「え? それは、何で?」
「だからさ、そこは、雄介が言ってくれたんだけど、確かにその事について電話やメールで言うのは簡単だけど、それじゃ、気持ちが伝わらないから直接会って、雄介のお姉さんに頼んだ方がいいだろうってな」
「あ、ああ! そういう事な。 成程なぁ、望達の話はそこまで固めてたんだな。 いいんじゃねぇのかな? それはそれで……人間、人それぞれなんだから、そういう意見があれば、こういう意見もある。 意見っていうのは十人十色って言う訳だしな」
「俺も子供を望んでるけど、雄介はもっと望んでるからさ……」
「だな……」
それはそれで和也も裕実も納得してくれているようだ。
「しかしアレだよなぁー。 まさか、世の中がこんなに変わるなんて思ってなかったよ……。 ひと昔前の俺達にこの事を教えてやりたい位だよな? 今は同性同士でも子供を持てるようになったんだよ。 ってな」
「だよなぁー。 ホント、そんな事、今まで考えた事もなかった事だしな。 じゃあ、どうするんだ? 望達はまた東京に向かうんだろ?」
「そうなのかもしれねぇけど、その前に雄介のお姉さんにまた相談してからじゃねぇといけないんじゃないのかな? だって、突然行って、『代理出産して下さい』って言えないだろ? あ! その前に婚姻届の方が先だったかな? そういや、和也はちゃんと裕実にプロポーズしたのか?」
「ああ、まぁな……確かに、昨日の夕方は簡単に裕実にプロポーズしちゃったけど、プロポーズだって、そんな安易な気持ちでっていう訳にはいかないんだよなぁ。 って改めて思ったんだよ。 だってよ、これからの人生、ずっと一緒にいる事になる相手なんだから、ちゃんと真剣に心を込めて言わないとなんだよなぁ。 って思ったんだよ。 だから、あん時、裕実は俺の事を拒否した感じになったんだよな。 って……それに人生の中で一番に近い大イベントで一生に一回位しか普通は無いもんなのだから大事にしないとなってな。 だから、俺は裕実に真剣に『結婚してくれ』って言ったよ。 それで、俺達っていうのは、プロポーズをしてOKを貰ったのだけど、婚姻届の方はまだまだ先になるのかな?」
「ホント、その婚姻届が悩ましい所なんだよなぁ。 雄介は世間では見てめられている事なんだし、気にする必要はない。 って言うんだけどさぁ」
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