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ー至福ー118

「今の所は大丈夫なんやけどなぁ?」  きっとここまで頭痛が頻発してしまうと、流石の雄介も不安になって来たのであろう、そう不安そうに言っていたのだから。 「そこの所はマジなんだな?」 「流石に、そこは嘘吐かへんわぁ……」 「後は気持ち悪いとか?」 「これ以上、薬飲まないで放っておいたら、きっと気持ち悪くなってたのかしれへんけどな。 とりあえず、今の所は大丈夫やって……」 「なら、暫く様子見って事かな? あまりにも頭痛が頻発するようだったら、流石にもう一回病院にいかないとだけどよ」 「ま、そやね」  ホント、わりと医者というのは、無能なのかもしれない。 これがもし春坂病院でだったら、直ぐにでもMRI検査出来るのだが、流石にこの島の設備の中にはそのMRIはない。 これが無いと体の中を検査する事は出来ず、病気が見つからないのだから。  そこで思い出した事があった。 そうこの診療所を作った時だっただろうか、親父が「一応、春坂病院と連携出来るようになってる。 もし重症な患者が出た場合にはヘリコプターを飛ばす」っていう事を言っていたような気がする。 普段、この島には船で行き来しか出来ないのだが、緊急事態があった場合にはヘリコプターを出してくれるという事だろう。  とりあえず薬が効くまで三十分から一時間っていう所であろうか。  今まで俺達というのは、子供について話し合って来たのだけど、雄介のおかげで今はその話し合いも中断している所だ。  しかし和也達の所はその話はまとまったのであろうか。 「なぁ、和也ー、お前達は子供どうするって決めたんだ?」 「俺達の方は別にいいんだって……だってさ、別に、跡取りも必要ない訳だし、子供が出来ちゃったら、愛情が子供だけに大分向いちゃうだろ? 俺の場合には、裕実には愛情百パーセントでいきたいからさぁ」  そう言うと、和也と裕実は瞳と瞳を合わせ、本当に幸せっぷりを見せつけて来る。  それはそれで二人に幸せな形を見つけたのだからいいだろう。 「……で、望達はどうするんだ?」 「あ、え? 俺達?!」  和也達に俺は聞いたのだから、当然、和也達が俺達の事を聞いて来るのは当たり前だろう。 とりあえず俺の方はこの話については真剣に、 「俺達のほうは、子供作るって事に決めたのだけど、養子じゃなくて、雄介のお姉さんに代理出産を頼めたら頼んでみようかな? って思ってるんだよな」 「それって、どういう事だ?」  どうやら頭の回転が早い和也でも、この意味が分からなかったようだ。 しかも裕実と再び視線を合わせて目をパチクリとさせているのだから、裕実もその俺が今言った意味が分かってないという事だろう。

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