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ー至福ー122

『え? 何かしら? 何だか、雄ちゃんにしては、何だか改まっているような気がするのだけど……?』  きっと美里がここにいて雄介と話をしているのなら、目を丸くしながら聞いて来るような事なのかもしれない。 「姉貴! ホンマに今回は姉貴にお願いがあって電話したんやけど……」  電話の前なのにも関わらず、雄介は床に正座までして、頭を下げると、 「俺は本気で望と結婚したいと思うとる。 それと、望の子供も欲しいと思うとる……ニュースで姉貴も聞いとると思うねんけど……同性同士で結婚した場合、子供が生まれる訳が無い。 せやから、子供を養子に貰うか? それとも、代理出産で授かるしかないからな。 やから、姉貴にその……代理出産を頼みたいって思うて、電話したんや……。 ホンマ、俺からのお願いやねんけど、望と俺の子を姉貴が代理出産してくれへんか? いや、してくれませんか? そこは、本気で姉貴頼むっ! やなくて、お願いします!」  そう言って、雄介は床に額をつけるような感じで、自分のお姉さんに懇願していた。  それで本当に雄介は俺との子供を望んでいるんだっていう事が分かったような気がする。 いや、本当に真剣に俺との子供が欲しいという事だろう。 それに普段雄介は関西弁なのに、雄介のお姉さんでさえも最後の方は敬語になっていたのだから、本当に雄介は俺との子供を本気で欲しいと思っている事が伝わって来た。  だからなのか俺の方も雄介の隣に座って、正座すると、雄介同様に床に頭を付けて、 「僕の方からも、お願い致します!」  美里には頭を下げている所なんていうのは見えてないだろうと思いながらも人間というのは、そうやってしまうもんだ。 「その事に関しては暫く考えさせてくれないかしら? それに、いきなり頼まれても直ぐに答えは出る訳では無いしね。 確かに、雄ちゃんと吉良先生が自分の子供を欲しいのは分かったのだけど、今の私からしてみたら、それだけではこう確かに伝わって来るもんはあるのだけど、なんかこう、これからのプランっていうのかしら? それに、子供を育てるって、本当に大変な事なのよ、嫌だからって簡単に諦められる物ではないもだしね。 こうもっともっと子供の事を真剣に考えてからでいいかしら?」  雄介と俺は今の美里の言葉に一旦顔を上げると視線と視線が打つかり、そのままアイコンタクトをすると、雄介の方は再び美里に話を続けるのだ。 「確かに、それだけじゃ、姉貴に俺等の本気度っていうのは伝わらないのかもしれへん……だからな、姉貴が本当に俺達の子を代理で育ててくれるんやったら、俺と望は一旦春坂に戻ろうって思っておる。 ほんで、春坂病院で働きながら姉貴のサポートもするし、子供が成長していく過程も見届けたいし、勿論、本気で望と結婚もするしな」

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