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ー至福ー125
「でも、美里さんが言いたい事は分かった気がした。 なんていうのかな? 俺達男同士の話だけでは見えなかった物が見えた感じがしたんだからさ。 今、美里さんに相談してなくて、このまま美里さんに直接頼みに行ってたら、俺達が今まで話をしていた事が無駄になってたかもしれねぇからな」
「ま、そやね……。 ホンマ、姉貴と電話すると疲れるけど、やっぱ、俺より人生の先輩なだけあるっていうんかな? それに、なんか俺より色々としっかりとしているのかもしれへんよな?」
「お前より、よっぽど、美里さんの方がしっかりしてるだろ? やっぱ、お前って、兄弟の中で二番目に生まれたから、こうなんていうの? 甘えん坊なのかもしれねぇよなぁ」
望に痛い所を突かれてしまったのか、一瞬、雄介はヘコんだように見えたのだが、直ぐに立ち直って、ソファに座ってる望の前まで行き真剣な瞳で見つめるのだ。
「……ちょ、いきなり、な、なんだよ……」
そんな事をいきなりされたら動揺しない奴はあまりいないだろう。 望の場合のは特になのかもしれない。
「もう、俺には無理やぁ……なんや、色々と我慢出来なくなってきたような気がするわぁ」
「はぁ!?」
そういきなり変な事を言う雄介に、俺の方は首を傾げる。
「あんなぁ……もう! 望の事が愛おしくて我慢出来へん!」
そう言って、何をしでかすかと思えば唇を重ねてくる雄介。
いきなりの事で俺は一瞬パニックになったのだけど、雄介の胸を両手で思いっきり叩くも全く離れてくれようとしなかった。 そして雄介がやっとの事で離れると、俺の方は今まで呼吸出来なかった分とばかりに肩で呼吸を繰り返すのだ。
「ちょ、な、なんなんだよ……はぁ……はぁ……いきなりこんな事して……か、和也達も目の前にいるんだぞ。 俺からしてみたら、ホント、意味分かんねぇんだけど……」
「せやから、我慢出来へんって言うたやんか」
「我慢出来なかったからって、何も和也達の前でやらなくてもいいじゃねぇかよ! 寧ろ、こういう事、俺が人前で嫌だって事、知ってるだろ?」
俺の方は雄介に向かっていつも以上に強く言うと、何だか今の雄介の行動が納得いかなかった俺は今度立ち上がって、雄介の服を掴みソファへと座らせる。
気持ち的に強く雄介の事をソファへと座らせた俺。
「……って、マジで意味分からねぇんだけど……何? お前のお姉さんに自分の意見が通らなかったから、俺にキスする事で八つ当たりをしたっていう事なのか? 確かに、暴力を振るわれるよりかはキスだけで自分の気持ちを抑えるのはいいんだけどさ、でも、キスは今じゃねぇだろ?」
そう俺は雄介に向かって説教を始める。
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