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ー至福ー126

「ホント、マジで今のキスは意味分からねぇんだけどっ!」  そう言って俺は雄介の胸ぐらを掴み体を揺らし、キツく言う。  今の雄介の行動で俺がどれだけ腹が立っているのかを思い知らせる為だ。  雄介が俺にキスするのは本当に構わない。 寧ろ、結婚する相手なのだから確かにキスなんて当たり前の事なのだから、和也達の前でだって本当はキスしても構わないと思っているのだから。 だけど今の状況で和也達の前でキスをしてくる雄介にただただムカついただけだ。  今の雄介の行動っていうのは、美里に何かを言われてヘコんで、俺にただただ八つ当たりでの意味でキスをしただけなのだから。  きっと普通の人なら八つ当たりする場合、暴力に走るのであろうが、雄介場合、そんな事はしない。 だから人前で俺にキスをするという行為に及んだのであろう。  でも良く考えれば雄介にしては、そんな自分勝手な行動するっていうのは珍しい事なのかもしれない。  だけど、やはり違う!  今の雄介は先に俺が思っていた通りの行動をしたのだから、気持ち的に俺の方が許せないだけだ。  それにいつもなら俺達がこんな喧嘩をし始めたら止めに入る和也も入って来ない所をみると、今のこの状況っていうのは俺の方は合ってるという事なんであろう。  確かに和也はこの状況で止めるっていう事はしなかったのだけど、裕実の方は、 「ちょっと、望さん、そろそろ辞めて上げて下さいよー」  と気持ち的に控えめに注意して来いる。  確かに誰かが止めないと止まる事がないからであろう。 しかし本当に裕実の方はこう控えめに小さな声で言って来る。 もしかしたら和也がなかなか俺の事を止めないから仕方なく控えめに裕実が言っている可能性が高い。  そこでフォローしたのは、雄介ではなく和也だ。 きっと和也は長年俺といるから本当に俺の性格やらを分かっているのであろう。 だから俺の方のフォローに入ってくれたのかもしれない。 「裕実……」  こう何かを説得するかのように、和也は裕実の肩に両手を置き裕実の目線へと合わせると、 「お前が望や雄介を止めたい気持ちは俺にも分かるんだけどさ……でも! こうしてたまには大きな意見の打つかり合いっていうのも必要な時だってあるんだよ。 そうでなければ自分の気持ちが相手に伝わらないからな。 俺的には、望が言いたい事も分かるし雄介がした行動も分かる……だから、二人にはちゃんと決着を付けて欲しかったから、俺はずっと二人の事を見守っていただけだ。 そこで、止めてしまったら二人の話し合いは、そこで終わってしまうだろ?」 「あ……」  和也のその言葉に思わず声を上げてしまっていた俺。  確かに和也の言う通りなのかもしれない。  しかし相変わらず和也っていう人間は凄い。 俺達の事をそこまで見ていたのだから。

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