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ー至福ー127
確かに、裕実に止められてしまったせいで気持ち的に冷めてしまったようにも思えるが、和也の言う通り今の話が中途半端になってしまったようにも思える。
そこで思いっきりため息を吐く俺。
そうだ。 今の俺は逆にもうどうしたらいいのかが分からなくなってしまったからであろう。
そんな俺に気付いた和也は、今度、俺の肩に手を置き、
「ゴメン……今のは裕実が悪かったって……」
そう何でか裕実の過ちを和也が謝って来ている。
寧ろ今の俺の状況を分かっているからこそ、裕実がしてしまった過ちを和也が代弁して謝って来ているのであろう。
「大丈夫だ……もう、急に冷めちまったからな」
「だから、それがダメだったんだって!」
「ん!?」
俺はその和也の言葉に目を丸くしながら和也の事を見つめるのだ。
「せっかく、望と雄介は今意見の言い合いの喧嘩をしていた訳だろ? それなのに、裕実が止めてしまった事で、中途半端に話し合いが終わってしまったのだからさ。 な、そこで話し合いを止めてしまって、そんな中途半端な気持ちで、お前と雄介はこれからやっていけるのか? 俺は、そこを心配してんだよ」
その和也の言葉に俺の方は息を止める。 まさか和也がそこまで考えてくれていたとは思ってなかったからなのかもしれない。
と、その時、ドアが開く音が聞こえて来たように思える。
それに気付き、ドアの方へと視線を向けると雄介の後ろ姿だ。
それを確認する為に雄介が今まで座っていたソファにも裕実が居た所にも視線を向けてみたのだが、やはり裕実の姿はそこにあり雄介の姿がこの部屋に無いという事だろう。
「へ? え? ちょ、和也っ!」
俺の方は出ていってしまった雄介の行動が分からず、何でか和也に助けを求めてしまっていたようだ。 それに和也に腕を掴まれてしまっていたのだから身動きを取れないでいた。
「ちょ、和也っ! 腕離せってっ!」
「雄介の事は大丈夫だからさぁ」
「何で、お前にそんな事が分かるんだよっ!」
「アイツは自殺するような奴では無いって分かってるからだよ」
その和也の言葉に俺の方は動きを止める。
確かに和也の言う通り、雄介は俺を残して自殺するような人間ではないっていう事をだ。
「ただ単純に、今自分がしてしまった行動を反省する為にも、後は頭を冷やす為にも、一旦、一人になって考えを纏めようと思ったんじゃねぇのかな? だって、ここに居たんじゃ、常に誰かがいるだろ? だから、一人の時間なんて無いようなもんじゃんか……だからさ、たまには一人の時間っていうのも必要なんじゃないのかな? って思うんだよな」
冷静になると、和也の言う通りなのであろう。 そこに俺は軽く息を吐くと、
「ま、和也の言う通りなんだよな……。 とりあえず、雄介が帰宅してくるの待ってるしかねぇのか……」
「ま、そういう事」
和也の方は俺が理解した事に満足したのか俺にウインクをすると、俺の方はソファへと座り和也達の方もソファへと腰を下ろすのだった。
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