とりあえず俺は雄介のその言葉と自分での簡単な診察に安心すると、雄介と二人階下へと降りて行く。 　そしてリビングへと通じる引き戸を雄介が開けると、テーブルで食事を並べていた和也と裕実が俺達の方へと視線を向けて来た。　そしていつも変わらない笑顔で、和也が、 「やっと、来てくれたのか？　やっぱ、望が雄介の事を迎えに行くと遅いよな？」 　その言葉に一瞬ムッとはしたものの、そこが和也らしい事なのだから気にせずに席へと座る俺と雄介。 「とりあえず、今日の夜ご飯は和也様特製オムライスだ！」 　そう自慢のように言って来る和也。　本当に本当、そういう所は和也らしいのかもしれない。 　「まったくもうー、和也ってばぁー。　何でこう、もっと、謙虚に出来ないんですかね？」 　そう和也に向かい頬を膨らますのは裕実だ。 　和也がああいう性格だから、きっと裕実位大人しい性格がいいのかもしれない。　それに裕実の場合のはあんな暗い過去があったのにも関わらず、今では和也にあんな風に怒ったり突っ込んだりする事が出来るのだから、裕実からしても大分和也には慣れたという事なのであろう。 　そんな二人のやりとりに俺の方は心の中でクスリとすると、和也が運んで来たオムライスの方へと視線を向ける。 　いやしかし和也もわりと料理上手な方なのかもしれない。　確かに雄介よりかはレパートリーというのは少ないのかもしれないのだけど、それでも全然上手い方だと俺は思っている。　だけどそれを言ってしまうと和也の場合には調子に乗ってしまうのだから、俺からはそんなに美味いとかっていうのは言わなくなってしまったという事だ。 　だけど俺は気になった事を和也に聞いてみる事にした。 「あのさ、和也って、シングルマザーだったんだろ？　それで、お母さんは看護師さんだったんなら、親が家にいる事って少なかったんじゃねぇのか？」 「え？　あ、まぁな……」 　そう言って、和也は席へと座るのだ。 「確かに、母さんは家にいる事っていうのは少なかったよ。　だから、中学に入った時にはもう既に夕飯とかって自分で作ってたかな？」 　やっぱりそうだ。　俺が思っていた通りに和也の方も自分でご飯を作っていたようだ。　そうシングルマザーで親が働いているのなら、ご飯とかは自分で作らないとならないのだから。　きっとそうだったのであろう。 「そういう事かぁ……」 　そこで一人納得してしまう俺。　多分、そこは独り言のように呟くように言っていただろう。 　だけどそこに突っ込んで来たのは雄介だ。 「なぁ、望、どういう事なん？」