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ー至福ー199
雄介の事を求めるような事を言ってしまったのだから、寧ろ雄介の方が驚いてしまっているような気がする。
「だから……もっとって……」
俺の方はもっともっと雄介の驚いた表情や不思議そうな表情を見たくて、今日は雄介の事を煽ってみてしまっていた。 いやきっと今日の俺っていうのは、雄介の事を求めているからこそ、雄介の事を煽っているのかもしれない。 それに一番気持ちいい波が来る所に触れてくれないから、俺自身が寂しくなってしまい煽ってしまっているという事なのであろう。
「……ダメなのか?」
こう本当に俺は雄介の事を煽るように見上げるのだ。
その時、俺と雄介の間に時が止まったかのような静止の時間があったような気がする。
きっと雄介の方は俺のその言葉で、思考停止状態になってしまっていたのかもしれない。 そしてその時の間、俺と雄介は瞳が重なってしまっていた。 昔の俺はその視線を離してしまっていたのかもしれないのだけど、今はその視線は離さない。 それだけ俺の方も雄介に真意を伝えたいからだ。
確かに今までの俺っていうのは、雄介と視線を合わせるのは恥ずかしくて仕方がなかったけど、それは恋人同士までだったから誤魔化す事が出来けど、これからっていうのは雄介とは結婚相手になるのだから視線を離したくはない。 本当に好きになった人だから、俺の方も好きだっていう事を伝えたいからこそ誤魔化すような事したくはないからだ。
暫く思考停止状態だった雄介なのだが、いつものように笑顔が戻って来たと思ったら、俺の体を優しく強く抱き締めて来て、
「……ホンマ、ありがとうな。 こう望が俺ん事、好きやっていう気持ちが今めっちゃ伝わって来たわぁ……」
何でか、その雄介の言葉に笑えて来たというのか、ツッコミたくなってきたというのか、
「それ、今だけなのか?」
そこは冗談ぽく『今』という言葉を強調して言ってみる。
「あー……」
その瞬間に雄介は天井の方へと視線を向けて、『まずった……』という声を上げてしまっているようにも思える。
ホント、そんな仕草まで可愛く思えてしまうのは、本当に俺が雄介の事を信じれるようになったからなのであろう。
そんな雄介の仕草に俺の方は今度イタズラっぽくクスクスとし始めるのだ。
「……え? 何……!?」
そう冗談ぽく笑う俺に反応してくる雄介。 きっと今の雄介っていうのはパニック状態なのであろう。
「クス……ホント、お前って、そんな反応するって事は、純粋なのな……そんな所が俺は好きになった所なのかもしれねぇよ。 ホント、マジで雄介には裏表な所なんて、なんもねぇしさ」
「え? あ、ん……?」
俺がそんな風に褒めても、こう謙虚になる所が益々雄介のいい所だと思う。
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