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ー未知ー15

 しかし、本当に春坂に戻って来て一日目からこんなに大変な思いをしていると、先が思いやられる。  だが、今日はこれで何ももうやることはなくなってしまったということだ。  現在の時刻は昼前ぐらいだ。  以前にも俺たちは経験したことがあるが、暇な時間をつぶすのは苦手だ。  俺の方は雄介のことを見つめ、アイコンタクトを送る。 『これから、どうする?』  と……。  すると急に今の話の後は一気に気を抜いてしまっていたのか、雄介の瞳は『何?!』という目をしていたのだから。  そんな気の抜けたような雄介に一瞬軽く息を抜き、今度は言葉で、 「これから、どうするんだ?」  と言うのだ。 「そうなぁ……?」  完全に気の抜けてしまったような雄介の声に、さっきまでの気迫というのか真剣さというのか、そんなのが抜けてしまっているのが雄介だ。 「ホント、お前って、気を抜く所と気が入っている所との差が激しいよなぁ……。 さっき、俺の親父に話をしている時の雄介っていうのは、カッコ良かったんだけどなぁ……」 「そりゃな……そういう時こそ、俺が頑張らないでどうすんねん! って思うたからやし……」  そんなくだらない会話でさえも今は微笑ましく感じる。  ひと昔前はそんなことがあったなら、俺の方が先ず完全に雄介に怒っていたであろうが、今は違う。 何だか、そんな雄介が可愛く思えてしまう程だ。 それだけ俺の方も雄介の性格を理解して来ているということだろう。  本当に初めて雄介を俺の家に呼んだ時は、最初っから俺と雄介はすれ違いが起きていたのだから。  仕事で二人とも忙しくて会えなくて、やっと会えた時に、雄介が背後から俺の体を抱き締めて来てくれたのに、俺の方は、「離せよ」と言ってしまったことで、雄介の方は「嫌われてしまった」と思ったことがあった。  今だったら、そういうことが起きても俺の方もちゃんと雄介に伝えているだろう。 『離せよ。 って言ったのは、お前の温もりを体が覚えてしまうと、今度会う時まで寂しく感じちゃうからだよ』  と。  本当に今まで雄介と過ごして来て、言葉というのは大事なんだというのを雄介には気付かされたような気がする。 言葉足らずならば、相手が誤解してしまう場合もあるということをだ。  俺の方は今までそんなに人とのコミュニケーションというのは取って来なかったのだから余計になのかもしれない。 寧ろ今まで友達という友達を作らずに一人で勉強ばかりして来たのだから。 本当にコミュニケーションというのは苦手だ。 だからきっと言葉足らずになってしまったりしていたのであろう。 それでは相手に通じる場合もあるのだが、やはり通じないことの方が多いだろう。

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