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ー未知ー16
俺の方は軽く息を吐く。
退屈だっていう意味でだ。
確かに今は退屈な気分になってしまったのだけど、今はだ。 寧ろ、これからは何かと忙しくなるのだから、ある意味今が、『嵐の前の静けさ』なのかもしれない。
近い将来、ここで退屈過ぎて軽く息を吐いていた事が懐かしく感じるだろう。
とりあえず今は将来の事より今をどうにかしないといけないだろう。
二人家でのんびりと過ごすか、どっかに出掛けてデートに行くか、はたまた臨時で春坂病院の方で働かせてもらうのか。
そう俺が思っていると、
「ほな、どうする? 春坂病院に行って、救急で働かせてもらうか?」
やっぱり雄介と俺は同じ意見で安心する。 本当に俺達っていうのは暇を潰すのが苦手だ。 だから何もしないよりかは働いていた方がいいとでも思ったのであろう。 雄介の方もそう言ったのだから。
「ああ、そうだな……。 やっぱ、何もしないよりかは、何か動いていた方がなんというのか、俺達には似合ってるっていうの?」
「そういう事やんなぁ……でも、昼食ってからな……」
雄介が立ち上がったと思ったら、そんな事を言うもんだから、俺の方も立ち上がりかけていた足を止める。
「もし、長くなってもうたら大変やから、昼飯ご飯系にしてくるわぁ……。 ま、望の親父さんに、また、電話しといてなぁ」
「え? あ、ああ……そうだな」
雄介のその言葉に俺の方は再び親父に電話しないとならないといけないようだ。 でも、さっきの電話はプライベートな話なのだし、今のは仕事の電話なのだから別に構わないのではないのだろうか。
それだったら、さっきまとめて話しておけば良かったと思っても後の祭りっていうやつだろう。
だけど今考えてみると仕事も確かにいいのだけど、雄介とこうやって二人だけでいられる時間っていうのは春坂に来たら、限られて来るような気がする。
よくよく考えると、島にいる時というのは、のんびりとした空間で、常に雄介とは一緒にいられたのだけど、春坂に来ると本当に俺達というのはやる事がいっぱいなのだから。
本当にこれからは忙しくなる。
寧ろ、昼間は俺の方が仕事に出てる事が多くて、雄介は美里さんの近くでサポートしていく予定なのだから、昼間はきっと離れ離れで居ることが多いだろう。
なら今はそんなに無理矢理仕事する事ではないのではないだろうか。 でも俺の中で仕事をしている雄介も見ていたいっていうのもある。
仕事でしか見られないようなあんな真剣な眼差しに真剣な表情。 白衣を腕捲りして、そこから見える肌。
本当にそこは女子ではないのだけど、雄介のそんな姿っていうのは、本当に胸の高鳴りがピークに達してしまいそうになる位なのだから。
俺からしてみたら雄介っていうのは、乙女チックにさせてくれる存在でもある。 胸の奥を締め付けられるような、そんなような存在だ。
今もそんな感じの事が俺の中で起こっているのだから、今も俺は雄介に恋をしているという事なのであろう。
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