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ー未知ー18
「そういや、雄介って、小児科外科もやった事があって、手術もした事があったって言ってたよな?」
「まぁな……」
俺等の方は雄介が作ってくれた昼食を口にしながら話を続けるのだ。
「あの時の俺等っていうのは、ホント、がむしゃらに仕事していたっていう感じだったから、自分の仕事で手一杯だったからさ、全くもって雄介がしている仕事の内容っていうのは知らないんだよなぁ。 なぁ、朔望には何を教わってたんだ? そこに所は全くもって、俺が知らない所だからさ……」
「あ、そやなぁ……ま、色々とかな?」
と雄介はちゃんと考えてくれているのか天井の方へと視線を向けていたのだから。
「その、色々っていうのが俺的には知りたい事なんだけどなぁ……」
「え? あ、まぁ……朔望の場合、仕事には真面目やったかな?」
「はぁ!? それだけ?! そんな事は知ってんだよ……他にはねぇのか? って聞いてんだけどっ! ってか、寧ろ、アイツの仕事っぷりが気になるっていうのかな?」
「え? 普通に? だって、島にいる時に望は朔望の働きっぷりを見てたんやろ? 朔望の場合には全くもってそれなんやって……」
そういう割にはこう何か焦っているように思えるのは気のせいであろうか。 そこに俺の方は頬を膨らませるのだ。
そうまだ雄介は朔望の事について絶対に何かを隠しているのは間違いないのだから。 そこは恋人としての第六感なのか、それとも仕事としての第六感なのか? っていうのは分からないのだけど。
俺は雄介の事を疑うように睨み上げる。
絶対に雄介は何か隠しているという確信というのか、明らかに雄介の瞳は嘘を吐いているのだから、そこは疑う所だろう。 それに俺達っていうのは結婚してこれからずっと一緒にいるのだから、ホント、そういう隠し事みたいなのは無しにして欲しい所でもあるのだから。
しかも俺の方はご飯を食べる手を休めてまで腕を組んで雄介の事を見上げている。
そんな俺に雄介の方は、何気に困ったような表情をしていた。
きっと言うべきか言わないべきか、と迷っているという感じなんだろう。
「あー、分かったって……ホンマ、望には勝てへんわぁ……」
そう雄介は呆れたように言うと、
「ちょ、怒らへんで聞いてくれるか?」
「え? あ、ああ……でも、場合にもよるかもな……」
一瞬その言葉を聞いて雄介は、俺に分からない位で息を吐いたように見えたのだけど、
「あんな……一回、仕事でも家でも休みが合わなくて、暫く望に会えてない事があった時に、朔望と望を見間違えた事があったわぁ……」
「はぁ?!」
「まぁ、あん時は、その後、望が来てくれたから良かったんだけどな。 ほら、俺が手術した子が心配で自主的に仕事場待機していた時にやって……」
それを聞いて俺の方は思い出せたのかもしれない。
そう言われてみればそんな事があったような気がする。 でも、その話は俺と朔望の事を見間違えただけで済んだ話だったのであろうか。
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