いや俺から雄介の顔は確かに逆光になってしまって見えないのだけど、きっと雄介からは俺の表情は照明おかげで見えているだろう。 　そして気付いた時には、完全に雄介の顔が俺の本当眼前に来ていたようだ。　次の瞬間には唇に生暖かいのを感じる事が出来たのだから、雄介が唇を重ねてきてくれた事が分かる。 　最初は軽く唇を重ねてくるだけのキスだったのだけど、それは段々と深いキスへと変わって行く。　そして気付いた時には完全に俺の両腕は雄介の手によって完全にベッドへと押し付けられていた。　もうそんな状態の俺というのはされるがままでいるのかもしれない。　だけどそれは雄介だから俺からしてみたら許されるだけで、これが他の人なら本当に許せない事だろう。 　さっきは唇を重ねるだけのキスだったのだけど、今度は舌を絡めて来る雄介。　俺だってもうこのキスについては慣れているのだから、そこは一生懸命雄介の舌に舌を絡ませるのだ。　その間というのは唾液を飲む事が出来ない。　だからなのか、気付いた時には唇の端からその唾液が垂れ、ベッドを濡らしてしまっていた。 　そして気付いた時には口から甘い吐息が漏れる。　雄介は舌を絡めたようなキスに満足したようで、気付いた時には雄介の舌は俺から離れてしまっていたのだから。 「ホンマ……望の舌っていうのは、甘いなぁ……」 　独り言なのか、それとも俺にそう漏らしているのか。　っていうのは分からないのだけど、あの優しい瞳で俺の事を見つめて来てくれる。 「ゆ、雄……すけ……？」 　ともう俺の方は声にならないよいな声で雄介の名前を呼ぶのだった。 「ん？」 　と反応してくれる雄介。　そんな俺に頭を撫でてくれるのだ。 　それだけでもドキドキと鼓動が早くなる。　ずっとずっと俺は雄介に恋をしているっていう証拠だろう。 　再び雄介の顔が眼前まで来たかと思えば、今度は俺の手首を押さえたまま、首筋や鎖骨へと舌を這わせて来る。　それも激しくはなく優しく、まるで壊れ物を扱うように舌で触れてくる雄介。　それだけ近いからなのか、雄介の鼻でする甘い息も肌に掛かる位だ。 　それだけでも俺の体はピクリとしてしまう。 　そして俺の方だって負けちゃいないかのように甘い吐息が漏れ始める。 「ふぅ……ん……」 　それと同時に体の方も雄介の舌に触れられて、ピクリと反応してしまう。 　いつも恥ずかしいとか若干嫌だとかっていうそういう気持ちで居たからなのか、気持ち的に体がこういう行為に強張ってしまっていたようにも思えたのだけど、今日の俺というのは違う。 　もう既にほんのりではあるのだけど、いつもより気持ち良く感じてしまっているのは気のせいであろうか。