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ー未知ー56
やがて雄介の舌というのは鎖骨や首筋を楽しんだ後、胸へと差し掛かる。 だけど雄介の場合にはその中心部にある胸の突起にはなかなか触れて来る事がない。
今日はただ単純にゆっくりとやりたいだけなのか、それとも雄介の責め方というのが、そういうゆっくり目という感じなのかもしれない。 多分、雄介の場合には本当に俺の事を大事に思ってくれているのだから、こうゆっくりというのか焦ったいというのかいつもそんな感じなのだから。
だけどそんな焦ったい感じだからなのか、ピクピクと体は反応するものの、こう本当に物足りない。
今の感じでピクピク位なのだから。 人間もっと気持ち良く感じる時にはビクンっ! とか、体が跳ねる感じがあるからだ。
雄介は俺の手首を掴みベッドの押し付ける。 しかも優しく強く押さえられていた。 そう手首を掴む強さは全く掴まれてない感じがするのだけど、俺が手首や腕を動かそうとしても動かない感じがあるからだ。
とそんな時、胸の突起の周辺部分を雄介の舌が這い回り始める。
「ん……」
やはりもう何十回と体を重ねて来ている体は、体の方はピクンと反応はするものの、それだけでは足りないと言っているようだ。 だけど俺の方はそういう恥ずかしい事というのは、要求はしない。 そう俺の性格上、そんな恥ずかしい事は要求する事は出来ないからだ。
だけどその行為が何故か今日は数十分過ぎて行く。
最初はピクンとピクンとしていた俺の体だったのだけど、こう何かもどかしげに体を揺らすというのか、何かを要求しているような動きになって来ていたのかもしれない。 腰やら体全体で動かしてしまっていると思えるからだ。
「足りないんか?」
そう唇を唾液で濡らしながら聞いて来る雄介。
「え? あ……いや……?」
どうしても俺の方は答えられなくて、雄介から視線を離してそう答えてしまう。
そしたら、
「……そう」
と独り言なのか、それとも俺に言ったのかっていうのは分からないのだけど、素っ気ない返事をして再び俺の体へと舌を這回すのだ。
もう大分雄介のその行為で感じ始めている体というのは、ビクビクと反応し始めてしまう。
今日の雄介はもしかして俺に要求してもらうように仕向けているのであろうか。
もしそうだとしても俺の口からはそういう言葉というのは言えないような気がする。
そう恥ずかしさやプライドみたいなのが邪魔してしまっているからであろう。
「ふぅ……ぁ……ん!」
気持ちいいような何か物足りないようなそんな感じが俺の体を巡る。 首を横に振ってどうにか快感から逃れようとしてみても実際逃れられる訳もないのに、何で人間というのはそんな行動をしてしまうのであろうか。
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