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ー未知ー85
こうも何回も中にある気持ちいい所を突かれると、体の方が勝手に身震いを始めるのだ。
いや寧ろ、体の中も頭の中も、気持ちいいという言葉が支配しているのかもしれない。
元から鼓動というのは、この行為を始めてから早く波打ってたのだけど、ここまで来ると、そこからしてみたら本当に波打っているっていう感じだ。
俺には勿論聞こえているのだけど、直ぐそこにいる雄介にも聞こえてしまいそうな感じだ。
段々と雄介の腰が早くなって来る。 そして気付いた時には早く動いたりゆっくりと動いたりしてリズム感がバラバラになって来たのは気のせいであろうか。
皮膚と皮膚とで打つかる音と雄介の男らしい荒い息遣い。
本当にこういう行為というのは、全部の感覚を刺激してくれているような気がする。
嗅覚、聴覚、味覚、触覚、視覚と人間が感じれる感覚全部だ。
緩やかに腰を動かしたり激しく腰を動かしたりしていた雄介だったのだけど、息を大きく吸って、大きく吐いた後に、
「もう、ええかぁ?」
こうなんていうのか、今日は雄介の顔を見てないのだけど、言葉的に、切ないような心配しているような声色で聞いて来る雄介。
「……ふぇ?」
本当は「へ?」と聞きたかったのだけど、俺の方だってもう今日は結構な勢いで何処からか蕩けてしまっていたからなのか、そんな声が出てしまっていたようだ。
今俺が雄介の方へと視線を向けた事で、俺の視線と雄介の視線が打つかる。
何だか真面目に視線が打つかると思ってなかった俺だったのだけど雄介の方はそういう事があっても直ぐに対応出来るようで、俺に向けて笑顔を向けてくれていた。
だけどその笑顔っていうのは、本当にこう優しいのだけど、やはり雄介の事だから心配そうな表情も含んでいるようにも思える。
こんなに何回も何十回も俺達というのは体を重ねて来ているのに、不安で心配なもんなのであろうか。
俺は何だか急にそんな雄介が愛おしく思えて来て、四つん這いだった体を仰向けの体勢へと変える。 当然、体勢を変えてしまった事で中から雄介のモノが抜けてしまったようだ。
「あ……ゴメン……」
俺の方は全く予想だにしない出来事だったのだけど、そこはちゃんと雄介に謝っておく。
「あ……ま、ええんやって……また、挿れたらいいんだしな」
と全くもって雄介の方は笑顔で答えてくれるのだ。
そして俺の方は気持ち的に真剣な顔をして雄介の事を見上げると、雄介の首へと両手を回し、自分の方へと引き寄せ、
「なぁ、もう、俺の方は、大丈夫なんだって……何で、お前はそんな不安そうな顔をするんだよ……。 もう、俺等っていうのは結婚するんだろ? それだったら、そろそろ俺の言葉を信じてくれてもいいんじゃねぇのか?」
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