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ー未知ー116
「んじゃ、行かん方がええか?」
そう、急に真剣な瞳をしてまで言ってくる雄介。
今さっきとは別人のような雰囲気を出しているのは気のせいであろうか。
そこに疑問を感じながらも、俺は、
「あー、まぁ……いいんじゃねぇのか?」
と答える。
もうあれから何年も経ってる訳だし、トラウマ克服のためにも今では全くもって体は拒否してないようなのだから、いいのではないだろうか。 だから俺はそう答えたのだ。
「ほな、行くかー!」
そう、明るく答える雄介。 何だか、その姿がいつもの雄介とは違う感じがしているのは気のせいであろうか。
それにいつもの雄介だったら、もっと俺のことを心配してくれると思っていたのだから、やはり今の雄介は自分が思っていた通りに変なのかもしれない。
とりあえず今は雄介と一緒にデパートへと向かう準備を始める。
とりあえず俺の方も雄介のお姉さんである美里さんが来るのだから、やはりデパートぐらいのお茶菓子じゃないと常識上ダメだと思ったからなのかもしれない。
男の場合、そんな準備することというのはない。
これが女性だったら、化粧とか洋服選びに時間がかかるのかもしれないのだけど、男性にはそういうのはない。
だけどデパートに行くのだから、流石にご近所スタイルっていうわけにはいかず、シャツにジャケットくらいは羽織るのだ。
それに今の季節ではシャツにジャケットを羽織るくらいが丁度いいのだから。
俺の方は普段からそういう服装が多いから別にいいのだけど、雄介っていうのはそういう服装はあまりしないからなのか、ちょっと俺からしたら違和感はあるのだけど、本当に雄介っていうのは何でも似合うのかもしれない。
こう久しぶりに雄介のその姿を見つめてしまったのだから。
そんな雄介を見つめながら玄関へと向かうと、雄介の方は壁に掛けてあった朔望が乗っていた車の鍵を取り、
「ほな、行こうか?」
と俺の方へといきなり声を掛けられてしまい、俺の方は一瞬遅れて、
「……あ、ああ!」
と答えるのだ。
「あー、今日は雄介が車の運転してくれるのか?」
「……へ? そこは、当たり前やろ?」
玄関先に腰を下ろしながら靴を履いていた雄介がそう答える。
やはりちょっと今日はオシャレして出掛けるだけあって、今日の雄介は革靴で出掛けるらしい。 当然、俺の方もジャケットを着ているのだから革靴で出掛けるつもりだが。
「え? あ、そうか……」
「なんか、俺が運転じゃ、不満なん?」
「あ、いや……別に……」
そう答えた直後に、靴を履いて立ち上がると、俺と雄介の視線が打ち合うのだ。
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