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ー未知ー134

 一瞬、雄介と明日のことについて考えとか纏めようとしたのだけど、今この時の方が大事というのか、和也も雄介も今を生きる人物だったからこそ、俺にもそれが移ったのか、明日のことは明日考えればいいということにするのだった。  俺の方も落ち着いて、浴槽へと寄り掛かると天井へと視線を向ける。  すると、急に雄介が俺へと近付いて来て、俺の事を見つめると、 「あんなぁ、もう一回、今からせぇへん?」 「……はぁ!?」  流石の俺も今日はもうシたばかりで、今はそんな気になってなかったからなのか一瞬で裏声を上げるのだ。 「ん、まぁ……確かに、望やったら、そう言うと思ったわぁ……」  そう拗ねたように言いながら、雄介の方は再び浴槽へと寄り掛かってしまう。  雄介が拗ねてしまう理由は分かったような気がする。  しかし雄介から誘ってくるのは本当に珍しい。  というのか、こうドストレートにと言った方がいいのであろうか。  逆に俺の鼓動が早く波打ち始める。  そう雄介に言われて自分の方も興奮してきてしまっているからなのかもしれない。  今までの俺はそういう事に関して疎かった。 というのか全く興味がなかったのだけど、雄介と出会ってからは二人で体を重ねることが増え、それが気持ちいいことだって体が分かったからこそ自分の方も体が興奮状態になって来ているのであろう。  しかも体を重ねて気持ち良さを教えてくれたのも雄介だ。 それだけ体を重ねて来ているっていうのもある。 それにもう俺達っていうのはもう直ぐ結婚するのだから、心まで相手のことを信じているからなのかもしれない。  そこまで俺は考えると、一旦瞳を閉じて、直ぐに瞳を開けると、俺の方から浴槽へと寄り掛かって拗ねてしまっている雄介へと近付くのだ。  そして雄介の両肩を手で押さえて、真剣な瞳で俺は雄介の事を見つめる。 「なぁ、雄介……」 「ん?」  さっきは一瞬拗ねてしまったように思えた雄介なのだが、その俺の言葉の後の雄介はいつもと変わらないようにも思える。  きっと雄介のことだから、直ぐに切り替えているのであろう。  そう体だけを重ねるのが恋人ではないのだから。  寧ろ、自分の意見が通らなくて、毎回拗ねていたら、それこそ俺からしてみたらめんどくさくなってしまうのかもしれない。 「別に……俺の方は、お前となら、何回も体重ねてもいいんだけど……」  昔はこんなに素直に雄介にだって素直に言えなかった筈なのに、今ではここまで素直に言えるようになった俺。 自分自身、そこにもビックリだ。  さっき俺からのキスの時のように目を丸くしながら見つめてくる雄介。

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