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ー未知ー169

 そこに俺の方は首を横へと傾げると、 「望が俺のこと心配してくれて、ありがとうっていう意味やって……」 「え? あ、ああ……?」  流石にそれだけでは俺だって意味が分からない状態だ。 だから未だに俺の方は首を傾げたままなのだから。  そこの雄介の方も気付いたのか、 「んー、なんていうんかなぁ? どう、望に伝えたらええねんやろ?」  今の俺たちっていうのは、うつ伏せの状態で会話をしていた。 こう何かを語るようにとでも言った方がいいだろうか。 それにこういう行為をする時っていうのは、俺がそもそも電気を点けるのが嫌いなのだから、せめて手元電気だけは点いていて、それが淡い光で、何だか今はその電気さえもいい演出をしてくれているのかもしれない。  この俺達の会話にピッタリとでもいうのであろうか。 「望って、昔は色々と大事な話の時っていうのは、どうにかして逃げておったやろ。 だけどなぁ、今はそういう話してても逃げるなんてことはしないで、寧ろ、真剣に話をしてくれてるから、ありがとうなんやって……」 「あ……」  と雄介の言葉で気付かされる俺。  確かに、雄介の言う通りなのかもしれない。  昔の俺はそういう話については逃げて来た。 だけど今の俺というのは確かに逃げずに寧ろ雄介をフォローしていたようにも思える。  無意識、それとも雄介が俺のことをこういう風にしてくれていたということなのであろうか。  本当に俺は雄介のおかげで自分自身が変われたように思える。 自然に、いやもしかしたら雄介のおかげでなのかもしれない。  俺が雄介に出会わなかったら、もしかしたらずっとあのままの性格だったのかもしれないのだけど、俺が雄介と出会ったことで、俺自身は本当に変われて来ているような気がする。  しかし俺の方はその雄介の言葉が気恥ずかしくて、そこは視線を逸らしてしまっていた。  こう人に褒められるのは悪くはない。  ただ俺が人に褒められることに慣れてないだけなのだから。 「ま、そういうことやから、今日は、もう、寝よっ!」 「あ、ああ……そうだな……」  と俺の方はいつものように返事をすると、 「その前に、俺は体洗って来るわぁ……」  そう言って俺はその場に立ち上がり、一階にあるお風呂場へと向かうのだった。  流石にこのベタベタした体で寝るわけには行かない。 それに明日は美里に会わなきゃいけないのだから、余計にだろう。  すると雄介の方も付いて来たようで、 「ほな、俺も一緒に入る……」  そこは当然なのであろう。 「あ、ああ……」  と俺はその雄介の言葉に軽く返事をするのだ。

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