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ー未知ー171

「え? だけど……何か秘策でもあるのか?」  俺は真剣に雄介の方へ視線を向けて尋ねた。  だが雄介は、再び天井を見上げながら、 「いや……何も考えておらんよ……だけど、今日のことについては、ただ望に心配は掛けたくないだけなんやって……」  雄介の言葉の意味が、何となくわかりそうでわからない。 分かりにくいせいか、俺は首を傾げながら雄介を見つめる。 おそらく、俺のそんな姿は雄介には見えていないだろう。 だが雄介は、 「ホンマ、今日のことについては、俺に任せてくれへんか?」  天井を見ていた雄介が、今度は俺の方へ体ごと向けてきた。 そして、狭いベッドの上で俺の肩をガッチリと掴んでくる。 その力はとても強い。  さすがに痛みを感じたが、それだけ雄介が今日のことを真剣に考えているのが伝わってきた。 「あー、分かったから……お前の力は強いんだからさ……もうちょっと手加減してくれねぇ?」 「あ、スマンかったわぁ……」  雄介はそう言って手を離した。 「確かに、雄介の言いたいことは分かったよ。 本当にありがとうな……とりあえず、今日の美里さんとの話し合いはお前に任せたからな」  雄介の意図が何となく分かった気がして、俺は真剣な表情で言った。  それから俺たちは、いつものように起きて、朝ご飯を食べに一階へと向かう。  今日の朝ごはんは、食パンと目玉焼きだ。  本当に雄介が作るご飯は美味しい。 そして盛り付けにもこだわりがあり、まるでレストランで食事をしているかのような美しさだ。  だが今日の雄介は、美里さんと真剣な話をすることが分かっているせいか、 「あー! やってもうた……」  キッチンから雄介の悔しそうな声が聞こえてきた。 「ん? どうしたんだ?」  俺はカウンターテーブルから雄介に尋ねる。 雄介が独り言を言うのは、聞いて欲しいからだろう。 「ん? え? あー、目玉焼きを落とす時に、グチャってな……」 「……へ?」  あまりにも珍しい失敗に、俺の声が裏返ってしまった。 「大丈夫やって……味には問題ないしな。 それに、これは俺が食べるし。望の分はちゃんと綺麗にできてるから、大丈夫やって……」 「そっか……」  雄介が今日のことで動揺しているのがよく分かる。  あんな真剣な話をしなければならないのだから、動揺しない方が不自然だろう。

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