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ー未知ー200

「ホント、小さい頃とは全く別で、こんなにしっかりとできるような人間になったのね。寧ろ、それは、望さんのおかげなんじゃないのかしら?」  その美里の言葉に、俺は驚いた表情で美里を見つめてしまう。  しかし、それは一体どういうことなんだろうか。  寧ろ、美里は小さい頃から雄介と一緒だったのだから、昔の雄介のことをよく知っているはずだ。だからこそ、そういう風に言っているのだろう。 「雄ちゃんはね、小さい頃は寧ろ、私の後ろに隠れていたのよね。でも、望さんと出会ってからの雄ちゃんは、小さい頃と違って、守る人ができたから、前に出るようになれたのかもしれないわぁ……。だから、逆に望さん……雄ちゃんのことを、ここまで立派にしてくれて、ありがとうございます」  そう言って急に俺に向かって頭を下げる美里。 「いやいやいや……そ、そんな、美里さんに頭を下げられるほど大したことはしてませんよ……。それは、雄介自身が成長してきただけですから……」  その言葉に美里は、 「でも、望さんがいなければ、雄ちゃんはこんな風にはならなかったと思うのよ。だって……まぁ、望さんには悪いけど、雄ちゃんにだって彼女がいたことはあったけど、その彼女が雄ちゃんのことをここまで成長させたことはないのだから……。だから、望さんと出会えて、何かが雄ちゃんの中で変わったのかもしれないわぁ……。それに、私とこうやって真剣な話をする機会すらなかったのだからね」 「あ……」  その美里の言葉に、俺は思わず声を出してしまった。  そう、ある意味で、美里の言葉に納得できたからなのかもしれない。  もう、そこまで言われると、返す言葉もない。 「やっぱり、雄介は何か凄いんですね……。俺の恋人になってくれて、本当に良かったです。俺自身も雄介のおかげで変われたところがたくさんありますからね」 「でしょうね。だって、二人を見ていると、本当に楽しそうですもの……それに、雄ちゃんの彼女たちは、こんなに長く雄ちゃんと一緒に恋人としていたこともなかったはずよ」  そう言う美里に、俺は段々と雄介と恋人になったことに自信を持てるような気がする。それに、お互い様でもあるからだ。 「それと、美里さんには、言っておいた方がいいと思いまして……確かに、子供もですが、もちろん、俺たちは結婚もする予定です。この前、婚約指輪も買いましたしね。これからもずっと雄介と一緒にいると思うので、本当に、これからも美里さんにはお世話になると思うので、宜しくお願いいたします」  そう言って深々と頭を下げる俺。

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