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ー閃光ー6
何だか、甥っ子と叔父さんの関係で会話している姿っていうのは、俺からしてみたら微笑ましく思えるところだ。とりあえず今の俺っていうのは、完全な蚊帳の外なのだが、その二人の会話が微笑ましくて、今は大人しくその二人の会話を聞いていた。
「もー、なんやろ? まぁ、親っていうのは、確かにそういうもんやけど……気が強いのが親とかだと言い返せないのよなぁ……」
そうしみじみ言っている雄介。きっと雄介も小さい頃、美里に言われてきたから共感できるところなんだろう。
「雄介おじさん! 分かってくれるー!」
そう瞳をキラキラとさせながら、琉斗は雄介のことを見上げるのだ。
当然、琉斗はまだ中学生だし、雄介の方は日本人男性平均身長よりも断然高い方だし、俺よりも小さいのだから、座っていても身長差があるのは仕方がないことだろう。
「ほな、琉斗は姉貴に反抗してない? っていうことなんか?」
「だって、反抗したって、直ぐに怒ったり、言い負かされてしまうんだったら、しない方が楽じゃない?」
「うっわぁ!! それ、分かるわぁー! 小さい頃、全く俺の方も琉斗と同じタイプやったしなぁ。ホンマ、兄弟喧嘩しとっても確実に姉貴の方が強くて、それだったら、俺の方が折れた方がええって思った程やったしなぁ。せやから、兄弟喧嘩もしなくなった訳やし……」
「……って、事は、雄介おじさんはお母さんに勝てなかったの?」
「ん? まぁ……そこは、ある意味、普通なんと違うかな? だって、俺の姉貴やったんやから、俺からしてみたら姉貴は年上になるしなぁ」
「えー、せっかく、雄介おじさんに相談して、お母さんの攻略方法でも教えてもらおうと思ったのにー?」
その思春期らしい琉斗の言葉に、俺の方は目を丸くしていると、雄介の視線が俺の方へと向いてきたようにも思える。だからなのか、俺の方も雄介へと視線を合わせるのだ。
そして暫く視線を合わせて数秒。
「あー、でもな……思春期に親に対して反抗するのは、自分の意見を言えるとかぶつけられるっていう事なんやから、そこは、親子関係がきちんと出来てると思うところやから、琉斗もぶつかりに行ってええと思う……そうやって、みんな成長していくんやからなぁ。逆に危ないのは、思春期に反抗する気がないとか、親に意見とかすることが出来ないっていう方が危険なんやで。そんなんでも、琉斗の方はお母さんに意見をぶつけることは出来んねんやろ? ほんなら、自分の意見をぶつけに行ったらええんやって……親に勝とうなんて思わんと、自分の意見をしっかり言う。と思ったらええんやからなぁ」
そんなことを言う雄介に、俺の心の中では、拍手状態だった。まさか思春期の琉斗にそこまでアドバイスができるとは思ってなかったからなのかもしれない。
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