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ー閃光ー29

「前にも、こんなことなかったか?」 「あー、確かになぁ……前にもこんなことがあったような気がするわぁ……」 「だよな。確かに、昔は雄介にはツンな態度を取ってたけどさ、今は……雄介がここに迎えに来てくれて良かったって思ってるからな」  その俺の言葉に、雄介はクスリと笑っていた。  一人でいる時の渋滞はイラつくし、面倒くさいけど、二人でいる時の渋滞は楽しいし、面倒くさくもない。だから俺も雄介が来てくれたことで笑顔になれたのだろう。  暫くして少しずつ車が動き始めると、どうやら事故渋滞でなかなか進まなかったようだ。 「事故渋滞だったのか……」 「まぁ、しゃーないわなぁ……」  雄介は本当にリラックスした感じで、シートに寄りかかりながらそう言った。 「まぁな……もう、怪我人の方は運ばれてったんだろ? さっき、救急車も通って行ったしな」 「ま、そやな……。しかし、懐かしいわぁ……ああやって、人命救助していた時代がな……」 「今だって、十分に人命救助してんだろ?」 「そやけど……今はある意味、休業中みたいなもんやんけ……今で言ったら、ニートみたいなもんやで……」 「別に、お前の場合には、ニートじゃねぇだろ? 家事と美里さんのお世話してんだからよ」 「ま、そうなのかもしれへんけど……なんかなぁ……今までが今までやったから、今はニートみたいなもんやろ?」  その言葉に俺は「ま、いっか……」と思いながら、やっと渋滞から抜け、今度は家に向けて車を走らせた。  今はこうやって雄介がいても普通に車の運転ができるようになったけど、昔は隣に雄介がいるっていうだけで、俺は緊張していたような気がする。むしろ、雄介に運転を頼んでいたくらいだったのだから。だが今は全くその緊張すらなくなったのだから、大分雄介には慣れたという証拠だろう。 「今日の夕飯はなんだ?」 「夕飯は、唐揚げやなぁ」 「唐揚げかぁ」  本当に何気ない雄介との会話。今はそれさえも楽しく感じるのだからいいだろう。  本当に雄介っていうのは、何でも作れる気がする。 「なぁ、雄介って、なんで、そんなに料理ができるんだ?」 「……へ? あ、ああ……それな。今の時代、ネットを見れば何でもできる時代やからなぁ……。今日はこれが食べたいなぁって思ったら、ネットで調べて、作るだけやし……」 「あ……」  確かに雄介の言う通りなのかもしれない。  ただ俺にはスマホで検索してっていうのが、あまり頭になかったからピンと来なかっただけだ。きっと俺の場合にはパソコンがメインだからだろう。

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