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ー閃光ー30
そんな会話をしながら家へと到着する。
今はマンションなので、地下の駐車場に車を停めて部屋へと向かう。
エレベーターを上がり、マンションの廊下に出て、そこから三つ目のドアが今の俺たちの住まいだ。
雄介が部屋の鍵を開けると、俺たちは部屋の中へ入る。
家に帰ると、何だか落ち着くのは気のせいだろうか。いや、きっと部屋にある自分たちの匂いがそうさせてくれるのかもしれない。
仕事場では消毒液の独特の匂いを終始嗅いでいるのだから、余計に家の匂いが落ち着くのだろう。
遅く帰宅すると、本当に家が懐かしく感じる。しかも明日は久々の休みだ。
部屋の中で、スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めて、ソファに一気に腰を下ろす俺。そして一気に息を吐く。
何だか全国の親父みたいな行動に自分でも泣けてくるが、もう実際年齢的にも親父の歳になってきているのだから、当たり前な行動なのかもしれない。
ソファで寛いでいると、部屋内に電子レンジ特有の音が聞こえてくる。
料理が温まった証拠だろう。
「ご飯できたでー」
という雄介の相変わらずな関西弁で呼ばれて、俺はソファから立ち上がり、リビングテーブルへと向かう。
ランチョンマットの上に並べられている料理。
本当に料亭とかお高いレストランに来ているっていう雰囲気がある。
きっと雄介がそれなりにお皿を綺麗に並べているからなのかもしれない。
それにメインのおかずは唐揚げではあるけれど、味噌汁とかもある。きっと雄介の場合には、しっかりと栄養満点の献立で作られているのだろう。
そして二人で両手を合わせて、
「いただきます」
二人でこうしていると、自然と笑みが溢れる。
食事をしながら、俺は今日仕事であったことを愚痴として雄介に話し始める。やはり今の仕事の愚痴といえば、看護師の美潮のことだ。
だけど雄介は、それが例え愚痴だとしても、ちゃんとご飯を食べながら聞いてくれる。
あまり人の愚痴というのは聞きたくないものだが、雄介の場合には本当に聞いてくれるところが何だか安心できるところなのかもしれない。
「ま、そりゃ、和也の場合には、和也がああいう性格やからなぁ。和也は多少いろいろと面倒くさいところはあんねんけど、でも、友達としてだったら、ホンマに十分すぎるほどなのかもしれへんなぁ。だけど、今の看護師さんは、友達っていう感じじゃなくて、仕事場での人間っていう感じなんやろ?」
「ああ、まぁな……」
「それやったら、それでええんと違うの?」
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