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ー閃光ー46
俺が雄介をこの部屋に連れてきてから、どれくらいの時間が経っただろうか。少なくとも三十分以上は経っていないように思える。
さっきまで美潮はこの部屋にいなかったが、今はいるようだ。
「あ、吉良先生……もう検診、終わったんですか?」
「あ、まあな……」
一応、コンビとして一緒に働いている美潮には、俺が一度仕事を抜けることを伝えておいたので、事情は知っている。
「それと、俺の旦那がちょっと体調を崩したから、俺のベッドで寝かせてたんだ。起こしにきたんだよ」
「そうだったんですね」
美潮の態度がどことなく冷たく感じられるのは、あまり興味がないということなのだろう。
俺はとりあえず、寝室へと向かい、ベッドで寝ている雄介を起こしにかかる。
「雄介……起きろよ。美里さんの検診が終わったから、美里さんを家に送ってくれないか?」
「ん……あ、んー……んー……え? 美里……?」
まだ雄介は寝ぼけているのだろうか。まるでカタコトのように、美里の名前を呼んでいた。
「だから、美里さんだよ! お願いだから、今は大事な時なんだしさ……それに、お前、もう大丈夫だろ? 薬で頭痛も治ったはずだし……」
「え? あ、んー……」
雄介との会話が成り立っていないことに疑問を感じながらも、俺は一生懸命雄介を起こし続ける。やっとのことで、雄介はベッドの上で半身を起こした。
その姿に、なぜか安堵してしまう俺。
きっと最近、雄介が頻繁に頭痛を訴えていたからだろう。それが心配だったから、普通に起きてきたことに安心できたのかもしれない。
「あー、えーと……って、ここはどこなんだ?」
「ん?」
雄介のその質問に、まだ寝ぼけているんだと思った俺。
「ここは、病院の俺の部屋のベッドだけど……」
「あ、そういうことだったんだな」
「ん? んー……」
しかし、まだ何か違和感が残る俺。雄介の様子がどこかおかしいのは気のせいだろうか。
「とりあえず、頭が大丈夫そうなら、美里さんを送ってってくれないか?」
「あーと……さっきから、何を言っているのか分からないんだけど、美里っていう人? を俺が何で送らないといけないんだ?」
「ん? んんー……」
だんだんと俺の頭が混乱してきた。
さっきから雄介の言葉が支離滅裂なのは気のせいだろうか。しかも、関西弁ではなく標準語で話し始めた雄介に違和感が募る。
確かに、仕事中は標準語や敬語を使っていた記憶はあるが、俺との会話で標準語を話したのは、付き合い始めた頃以来だ。
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