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ー閃光ー58

「なので、これから先、俺的にも雄介のことについては考えたいところなんですよね」  その言葉でどうにか美里には通じたらしく、 「そういうことだったんですね」 「それと、俺たちが今こんな状態になってしまい、申し訳ないです。俺たちの子供が生まれるまで、俺たちが美里さんのことをサポートしていくって約束したのに……こんなことになってしまい、申し訳ございませんでした」  そこで俺は美里に向かい、頭を下げた。  確かにそこまでする必要はないと思うのだけど、でも本気で約束を果たせなかったことに俺は申し訳ない気持ちだったのだから。 「そこは、ちょっと残念だと思いますけど、でも、気にしないでくださいね」  さっきまで少し厳しい感じがした美里だったが、急にいつもと変わらない感じになったようにも思えた。そこに安心する俺。  もしかしたら妊娠中なのだから、ちょっとしたことでイライラしているのか、やはり俺の言葉が足りなくて、「ちゃんと言ってくれないと分からないわよ!」という気持ちだったから、そう言われてしまったのかもしれない。  とりあえずここはまだMRI室前にあるソファなのだから、俺は再び美里と雄介を連れて、病院にある部屋へと戻っていく。  気づくと、もう時間も夕方の五時で、今日は午後いっぱい色々とプライベートのことで忙しかったような気がする。  部屋へ戻ってくると、美潮もいて、 「吉良先生……だから、一般人の方はこの部屋への入室は禁止だって言ったじゃありませんか……」  そう美潮に言われて、俺はイラッとしながらも、 「お前さ、もうちょっと融通とか効かねぇの? それに、こっちの事情も聞かずに、ただただ一般人の入室を禁止って言ってるだけじゃん! こっちはこっちの事情っていうのがあるんだよ!」  俺は気づいたら美潮に向けて、そう言ってしまっていた。  本当に和也と違って、美潮という人物は面倒くさかったからだ。  これがもし和也だったら、今の俺の事情を分かってくれただろう。たとえ、和也からして雄介の存在を知らない人物であってもだ。  本当に俺から見たら、美潮の性格っていうのはめんどくさい。こう、一から十まで説明しないと分かってくれないからであろう。 「あー、とりあえず、美潮君……仕事終わったんだったら、帰っていいよ」  そう俺は、別に美潮に俺たちのことを説明する気などないと思ったので、さっさと帰らせることにした。 「それでしたら、帰らせていただきますね」  そう言って美潮はロッカールームへと消えていく。  そんな美潮に俺がため息をついたのは言うまでもないだろう。

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