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ー閃光ー92

 そこで新城はなぜかクスリと笑っていた。そして俺の方へと視線を向け、 「いいですね、吉良先生……愛って……」  その意味ありげな新城の言葉に、俺は顔を真っ赤にする。 「本当に、愛っていいですよねぇ」  と美里まで俺に向けて言ってくる。 「本当に、それだけ雄ちゃんは望さんのことが好きだっていうことですよ。それは誇りに思っていいと思いますよ。でも、そのおかげで今私の家に来て、本当にいろいろな家事をやってくれているんですからね……。そこは望さんにも感謝しないとね」  なんて言われている俺。  確かに和也たちは今、俺のそばにいないのだけど、今は美里や新城たちが側にいて、俺たちのことを見守ってくれているような気がする。だけど新城と美里、和也と裕実では全くもって違う。  和也と裕実の二人は、一応ズバズバと言葉を言っているように思えるのだけど、愛もこもっているし、俺が気にしている言葉は絶対に言わない感じだ。それに対して新城と美里の方は、やはり俺とは会ったばかりだからか、言いたいことをズバリ言うタイプである。寧ろ自分の性格を優先している感じの二人だ。  だけど、ズバリと言ってくれるのもいいのかもしれない。確かに和也たちの場合は、わりとオブラートに包んで言ってくる場合もあるから、たまに分からないこともあるのだから。  本当に人によって、こんなにも言葉や性格が違うんだというのを、今俺は学んでいるのだろう。 「あ、ありがとうございます……」  人に褒められるのに慣れていない俺は、美里にどう返したらいいのか分からなくて、言葉を詰まらせながらもどうにか感謝の言葉を美里に返す。 「ふふ……吉良先生と桜井先生のカップルもなかなか仲がよろしいんですね。まあ、私と実琴もなかなかのものですけど……」  そうまた意味ありげに言ってくる新城。  そんな新城に、俺はため息をつきそうになりながらも、時計の方へとチラリと視線を向ける。  時間はもう二十時を指していた。  そこで俺は慌てたように、 「美里さん! だ、大丈夫なんですかねぇ? 琉斗君の方は……!」  本当に俺が焦っていたのかもしれない。こんな風に日本語の文章になっていないような感じで言ってしまっていたのだから。 「大丈夫なんじゃないかしら? そろそろ一人でいろいろなこともやって欲しいし、料理とか家事とか? 学校の用意だってそうだしね。お風呂にだって一人で入れるだろうし、もうね、思春期だから、親がウザいと思っている年頃だから、たまにはいなくても大丈夫なんじゃないかしらねぇ?」  何だか美里の言葉は分かるような気がする。  そう、思春期というのは人間誰しも通ってくる道なのだから、今、琉斗は完全にその思春期で、親がウザいと思う年頃なのだろう。確かに、それなら美里がそんなに慌てていないのも分かるような気がする。

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