「なら、三人でヤっちまうー？　なーんてなっ！」 　そう半分冗談で言ってくれているのであろうが、案外俺の方が本気なのかもしれない。 　その言葉に何でか俺の方は和也のことをジッと見つめてしまっていたのだから。 「……え？　マジ！？」 　その俺の反応にマジで驚いている和也。　そして和也は裕実と視線を合わせ、アイコンタクトだけで会話をしているようだ。　すると今度は裕実の方が、俺に話し掛けてくる。 「どーしたんですか？　望さん！」 　その言葉を強調しながら、俺の方へと真剣な表情でしかも両手を俺の両肩へと置い話を始める裕実。　きっとそれは俺に説教を始めようとしているのであろう。 　そうだ。　俺の方はもう精神的におかしくなってきているのかもしれない。 　雄介が記憶喪失になってたった数日で俺の方は精神的に参ってしまっているということだろう。 　もしかしたらそのせいで頭が回ってなくて、そんな言葉が出てしまったのかもしれないということだ。 「どーしたんです？　本当に望さんらしくないですよー。　今まで僕は黙って聞いてましたが、その言い方だと、本当に和也と僕と望さんとでヤっちゃってもいいっていう感じですよね？　それは絶対にしちゃダメなんですからねっ！　望さんは雄介さんと結婚してるのですから……忘れないで下さいよ。　左手に指輪あるじゃないですかぁ？！　これは、雄介さんと望さんが結婚したっていう証なんですからね。　それと浮気もしないって誓い合ったんでしょう？」 　その裕実の言葉に和也の方は首を縦に振り頷いていた。 「全くー、本当、そういうところ、どうしちまったんだ？　本当にそこ望らしくねぇだろ？　せっかく、雄介とは結婚までしたんだからさ……そこで、雄介との結婚を諦めてもいいのか？　ってことなんだぜ。　結婚してからのお前たちっていうのは、俺的には全く知らねぇけどさぁ。　望だって、雄介のことが好きで結婚したんだろ？　ならさ、記憶喪失の雄介でも、それは裏切っちゃいけないんじゃねぇのか？」 　本当に二人は俺からしてみたら心臓に悪いようなことを言ってきてくれているような気がする。 　そう二人に言葉に俺の心臓にチクチクと刺さり始めているのだから。　だけどその二人の言葉には愛情とか優しさっていうのが含まっているからこそ、優しく刺されているような気がするのだ。 　二人の言葉に俺の方は暫く項垂れていると、再び裕実が話始める。 「望さん……」 　って相変わらず優しい口調で、語りかけてくるように言ってくる。　そして裕実は今度俺の隣りへと座り、 「雄介さんと結婚して、どうなんですか？　幸せな時間を過ごせました？　僕たちとはあまり連絡を取ってなかったので、そこのところ知らないのでね」