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ー閃光ー166

 本当に雄介といると悩み事は尽きない。  いや、生きている中で悩み事が無い人間なんているのであろうか。  悩みがあるから生きていける。悩みがあるからこそ人間なのかもしれない。  きっと悩みがない人生っていうのは素晴らしいのかもしれないけど、やはり人間としては常に悩み事というのは尽きないのかもしれない。  人生の中で、ある悩み事が消えても次の悩み事が来る。  それを繰り返すのが人間の人生なのであろう。  そして、その中に自分に関わって来ている人物達がたくさん居るということだ。  家族、友人、恋人、一番大事な結婚相手に自分の子供。  そんな人たちに囲まれて、人間っていうのは日々成長しているのだと思う。  成長に終わりはない。  本当に色々なことで人間っていうのは日々成長しているのだから。  とりあえず、自分の中でモヤモヤとしていた問題を一旦終わらせると、完全に俺は布団の中へと入る。  相変わらず、雄介は隣で寝息を立てていた。  記憶喪失になる前の雄介とは、もしかしたら同じ悩みを共有していたのかもしれないけど、記憶喪失の雄介とは同じ悩みを共有していないのかもしれない。それも今の雄介とは気持ちが離れてしまっているということだろう。  雄介の大きな背中。  久しぶりにその背中を見つめる俺。  触れてみたい。  だけど記憶の無い雄介に触れてしまったら、何だか悔しいという気持ちになってしまうのはなんでなんだろうか。  その雄介の大きな背中を抱きしめたい。  記憶を失ってからの雄介を抱きしめたこともない。  体が無意識に拒否してしまっているようにも思える。  やはり、それならさっき思いついたように、今一度雄介に面と向かって告白してみたらどうなんだろうか?  そこはまだまだ試してみる価値はありそうだ。  「うん、そうしよう」と決めると、俺の瞼が落ちてくる。  きっと少しは俺の心も体も落ち着き始めてきている証拠なのかもしれないのだから。  次の朝。  今日も朝からいい匂いがしていた。  きっと和也がご飯を作ってくれているのであろう。  いや、俺の隣には雄介の姿も無いような気がする。  そこにハテナマークを浮かべながら、俺はとりあえず着替えを済ませると、誰かがいるリビングへと向かう。  扉を開けてリビングへ入ると、 「おはよー……」  と声を掛ける俺。  本当に俺から声を掛けるなんてことは珍しいくらいだけど、もう和也達とは大分心を許した仲なのだから、そう言っていたのかもしれない。 「おう! おはよう!」  そう先に声を掛けてくれたのは和也だ。 「おはようございまーす」  と相変わらずの笑顔と敬語で挨拶してくるのは裕実だ。そして、 「おはようございます」  と俺に声を掛けてきた人物がいたが、俺は目を見開きながら顔を上げる。

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