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ー閃光ー167

 そこに立っていたのは、二日くらい前から一緒のベッドで寝ている雄介だった。  挨拶してきたのにも驚きだったのだが、朝から記憶のない雄介がリビングに立っていたことが驚きだったのかもしれない。  一瞬目を見開いて驚きを隠せないでいた俺だったのだが、そこに何かを感じたのか、和也が、 「……ま、望がそういう反応するのも分かるけどな。とりあえず、雄介には朝起きてもらって、いつものように雄介に朝ご飯作ってもらうのもいいんじゃねぇかと思ってよ。俺等は後一週間もしないうちに、また島の方に戻っちまうからさ……だから、今のうちに雄介にご飯の作り方を教えておいたらいいかな? って思ってよ」  その和也からの説明に納得する俺。  本当に和也っていうのは頭の回転が早い奴だと思う。  確かにそうなのかもしれない。  今の雄介は記憶がない。そして記憶がないが、生活はしていかないとならないのだから。  もしかしたら医者や消防士としての仕事が出来なくても、家事くらいは教えてもらったら出来るのかもしれないからだ。 「……そういうことな」  そう小さな声で俺は独り言を漏らすと、ゆっくりとリビングにある椅子へと座るのだ。  そして直ぐに出来たご飯がテーブルへと運ばれてくる。 「今日は、雄介が作った目玉焼きでーす!」 「あ、ああ……ありがとう」  と、何でか自然と感謝の言葉を言っていた俺。  一瞬、周りが静かになったように思えたのだが、そこは気にしないように運ばれて来た料理の方へと視線を向ける。  今、和也は雄介が作ったとは言っていたのだが、やはり和也が雄介にご飯の作り方を教えたからなのか、そこにある目玉焼きは雄介が作ったものであって、雄介が作っていないもののようだ。  和也が作る目玉焼きっていうのは、完全に目玉焼きの周りが焦げてしまっていたのだから。しかも黄身の部分は完全に固まってしまっている。そう記憶のある雄介が作る目玉焼きっていうのは、白身はとろっとして黄身は半熟状態だった。  その違いに気付きながらも、今日は和也の指導で雄介が作ってくれたご飯を口にする。  しかし記憶喪失っていうのは未だによく分からない。  雄介の場合、俺等のことだけが記憶にないと思っていたのだが、家事と料理も出来ないことも分かったような気がする。 「とりあえず、朝は簡単な物にしちまったけど、夜とかって、何か望からリクエストあるか?」  全員の分の料理がテーブルへと運ばれて来て、一番最初に和也が口を開く。 「あー、いや……特にはないかな?」  そう言って俺の方は天井の方へと視線を向けて答えるのだ。  いきなり振られて直ぐに答えられなかったからなのかもしれない。  それに食に関しては、そんなに俺の方は欲がない。寧ろ雄介が作ってくれた物なら何でもいいのだから。

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