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第3話

「ぁ、あ! や、やめ、いや、あ、あぁ、あ……!」  ベッドにうつ伏せているシェラの上から覆い被さって。シーツの間に追いやられたシェラの弱点を握りこむ。くちゅくちゅと小刻みに撫でてやると、シェラは逃げようともがき、髪を振り乱して鳴き声を上げた。 「大人しくしてろって。気持ちいいのに集中してたらすぐ出せる」 「……っ無理、無理だから、っ、ぁ、ああ、それ、だめ、……ッ!」  鈴口を指でぬるりと撫でる。びくびくと腰を戦慄かせるのがなんとも、楽しい。俺の指は瞬く間にヌルヌルに濡れて、ますます奴の弱いところをいじめやすくなった。本人は嫌々言ってんのに、難儀なもんだな。 「気持ち良くし過ぎなきゃいいんだろ。なら普通にこうやって……」 「ひっ、あ、あ、や、だめ、……っ、あ、う、んんぅうぅ……!」  敏感すぎる場所はひとまず触るのをやめて、上下に扱いてやる。滑りがいいから、セックスしてる時みたいに気持ちいいだろう。普通の男ならひとりでする時にやることだから、これぐらいなら慣れているに違いない。  ところが例の液体のせいでどうにかなってるのか、シェラときたらそれだけでも身悶えして震えている。どんだけ危険な罠を反転させたらこうなるんだマジで。こりゃあきっと大変だろう。こんな状態を一晩寝て我慢しようとしてたのは、高潔というか馬鹿というか。  呆れながらも、早く楽にしてやるため、心を鬼にして続けてやった。 「ほら、気持ちいいのに集中しろって。動くな」 「ひっ、ぃ、ダメ、あ、や、もう無理、っ、あ、あ! ……--ッ!」  腰を掴んで身動きができなくした上で、容赦なく扱いてやる。やがてシェラは声も無く震えて、びくびくと白濁を俺の手のひらに溢れ出させた。 「おーおー。頑張った頑張った」 「……っ、は、ぁ……」  耳元で褒めてやると、熱い吐息を漏らしてシェラの身体がくたりとベッドに沈む。荒い呼吸。熱くなった身体は汗ばんでいて、肌着はもう意味を成してない。絶頂の余韻で震える身体まで、全部がエロくて、正直俺もそういう気分になってきた。  が、これはあくまで治療行為だ。俺は努めて頭と下半身を冷やし、シェラの様子を窺う。一度出して落ち着けばいいんだが。  そんな俺の思いも虚しく、シェラの身体の熱は治まらないようだ。さっき射精したばかりのソレは、萎えることもない。それをじいっと見つめていると、頭が変になりそうだ。顔だけ見れば絶世の美女にも思えるのに、雄なんだよな、と。 「ぅ、う……っ。もう、放って、おいてくれ……っ」  と、シェラが力無い声でそう訴える。ころん、とうつ伏せだった身体を横向きにして、熱を逃そうとでもしているようだが、どう考えても無駄だろう。 「お前、その状態で放っておかれてさ、なんとかなると思ってる?」 「……うるさい……」  自分で触れないし、他人に触られても嫌だなんだと暴れている状態で処理できるわけがない。もちろん、一晩我慢するもやはり無理だろう。もう答えは出ているのに、このエルフはまだ認めたくないらしい。 「……あ、や、やめろ、近付くな……!」  覆い被さると、先ほどのことを思い出すらしい。嫌がって逃げようとするけれど、その身体に力なんてもう無くて、俺を押しのけようとする手も触れているばかりだ。 「いいからもう観念して、全部俺に任せておけって」 「嫌だ、あ、あんなのは、耐えられない」 「じゃあ今の状態は耐えられそうなのかよ」 「……そ、それは……」 「めんどくせえな、言うこと聞けねえんだったら縛るぞ」 「しば……!? よせ、この変態ガリアめ……!」 「嫌ならいい子にしてろよ、そうじゃなかったら誰か人でも呼んだらどうだ? 勇者辺りなんか人が良すぎるから、俺がお前に暴力を振るってると思って助けてくれるに違いないぜ」 「…………」  しかし、シェラは黙り込んでしまった。まあ、それはそうだろう。お高くまとったエルフ様が、こんな痴態をわざわざ晒したいわけもない。俺に知られたのでも嫌なのに、あのボンヤリした勇者や治療師に見られたりしたら、コイツは舌でも食いちぎって死ぬんじゃなかろうか。  そんな想像をしたが、シェラの答えは意外なものだった。 「……呼べない」 「あん?」 「……万が一にも、他にバレたらいけないから。この部屋に結界を施した。ここには誰も干渉できない。入ることも、出ることも、それに、音も互いに伝わらない……だから……」 「……へえーえ?」  いいことを聞いた。俺がニヤニヤしているのに、嫌な予感がしたんだろう。シェラは「ひっ」と息を呑んで、身を捩った。 「じゃあ、お前がどんなに情けない声を出しても、俺にしか聞こえてないってことだな。これから何をしたって誰にもバレない、なら安心じゃねえか。なあ、シェラ」  耳元で囁いてやると、シェラは小さく首を横に振った。怯えるような仕草だが、その身体はかわいそうなことに、熱いままだった。 「……ラルフっ、も、いやだぁ……っ」  胸に縋りついたシェラが、泣き出しそうな声で訴える。抱きこんだまま散々に可愛がっていた俺は一度手を止めて、奴の顔を覗き込んだ。  いつもの凛とした姿は何処へやら。涙と汗と快感で蕩けた顔をしたシェラは、「もういやだ」と力無く繰り返して、首を振る。何度も射精してきっと疲れているんだろうが、それでもまだ、シェラの雄は力を失っていない。一体どうしたらこうなるんだ、逆に。  いっそ気絶でもしちまえば楽なんだろうが、エルフってのはヒトに比べて精神力も強いらしくて、いつまで経ってもそうならない。俺でさえ、ちょっとかわいそうな気がした。  体液やらなんやらでドロドロになった下半身は、しかし見てるだけでエロくて仕方ない。哀れに思うと同時に、どうしようもなくそそる。手を止めてやって安心したのか、シェラが俺の身体に抱き着いてくる。甘えるような仕草に、このままブチ犯したい気持ちが湧いてくるが、グッと堪えた。  本人の了承無しにそういうことをするのは、いよいよもってクズでしかない。今やっているのはまだマシだ、一応、シェラの身体を良くしてやる為に協力しているわけだから。だが犯した時点で、そんな善行も吹き飛ぶだろう。少なくとも、「シェラが望んでない」のなら、するべきじゃない。 「ラルフ、ラルフ……」  やたら名前を呼び始めたシェラは可愛いが、流されたら俺の負けだ。背中を擦ってやりながら、「いい加減疲れたよなあ」と優しく囁いていてやると、シェラは小さく頷いた。 「も、痛い……」 「あー……もうずっと擦ってるもんな。流石に痛くもなるか……」  シェラのソレは赤くなっていて、確かにこれ以上触るのはかわいそうにも思える。いくら体液で濡れていると言っても、敏感な場所なんだから痛くもなるだろう。けれど、未だに萎えることを知らないそれを、放っておいても状況は悪くなる。 「どうすっかなぁ」 「うぅ……ラルフ、助けてくれ……」  放っておいてくれ、と強がる元気も無くなったらしい。シェラは妙にしおらしく、俺の胸に縋りついて懇願している。可愛いところ、有るじゃねえか。しかし、どう助けたもんか。  いや、考えが無いわけでもない。問題は、それをしてもいいかのほうだ。 「……なあシェラ。約束だ。俺が何をしても文句を言わないか?」 「ぅ……?」 「痛いところを触らないでおく方法は有るんだが、試すか?」  内容は伏せて切り出すと、シェラはしばらく視線を彷徨わせて、それからこくんと一つ頷いた。よし、約束は取り付けた。なら問題無いな。たぶん。 「よし、じゃあちょっと待ってろ。どうせこの辺に……あったあった」 「……?」  シェラから手を離して、ベッドサイドの引き出しを漁る。宿によってはご親切に、そういうことをする為の道具を用意してくれているもんだ。小瓶に入った、とろりとした液体を見つけ出して戻る。シェラは不思議そうに俺の顔や瓶を見ていたから、構わずその液体を手のひらに垂らし、しっかり濡らしながら教えてやった。 「これからお前の尻の中に指をぶち込む」 「…………⁈」  シェラが息を呑む。不安そうに顔を上げた奴に、俺はにこやかに(たぶんにこやかに)笑った。濡れていないほうの手で、安心させるように頭を撫でてやる。その繊細な金の髪は柔らかで、触り心地は絹みたいに気持ちいい。もっと触れていたくなる。 「心配すんな、痛くねえようにしてやるから。お偉すぎる創造神様は、どうしたことか男の尻ン中に気持ち良くなれるところを仕込んでくれてやがるのさ。少なくともヒトにはな。ここまで身体の作りが一緒なら、エルフのケツにも有んだろ」 「や、……いやだ、……っ!」  流石に嫌な予感がしたらしい。もがくシェラをすぐに抱き込んで逃がさない。あ、と不安そうな顔をしたから、額にひとつキスを落とした。ガキを寝かしつける時みたいに。 「いい子だ、大人しくしてな。痛いことはしないって言ってるだろ」 「い、痛くは、しなくても……」  その先の言葉は紡がれない。ああなるほど、気持ちいいのが怖いのか。なるほどな。俺は納得しながらも、シェラの背中に指を這わせ、その先へと触れる。 「ひっ……」  こんなお高くまとったエルフ様だ、自分でも触ったことが無いような場所だろう。そこに指を入れられるっていうんだから、動揺もする。逃げても無駄だと思ったのか、より強く俺に縋りついてきたシェラを宥めてやりながら、つんつんと入口を指で押す。  体液と快感のせいで、そこは思っていたのよりずっと柔らかくなっていた。これなら大丈夫だろ、と濡れた指へ僅かに力を籠める。 「ァ……っ」  つぷ、と指先が侵入すると、シェラがびくりと震える。不安げに俺を見つめる瞳が揺れたけど、痛くはなさそうだ。大丈夫、と何度も言い聞かせながら、ぬるぬると指を深くまで挿れていく。 「ぁ、ぁ……こ、こんな、……ぅぅ……っ」  シェラは涙目で首を振ったり、俺の胸に顔を埋めたりして落ち着きが無い。そりゃ落ち着かないだろうけど。  液体のぬめりのせいか、それだけじゃないのか、シェラはあっさりと俺の指を受け入れてくれた。ナカは熱くうねっていて、ここにぶち込んだらさぞ気持ちいいだろうな、という想像が過ぎらずにはいられない。俺はシェラと一緒に俺自身も宥めながら、ゆっくりと指を慣らすように動かす。 「痛いか?」 「……い、痛くは、ない……だが……っ」 「だが?」 「……っ、こ、これで本当に、楽になれるのか……?」  シェラが不安げにしている。そりゃそうか。性器を直接いじられるのとはだいぶ違う刺激だろう。ここからは、腕の見せ所ってやつだな。 「大丈夫、お前は力を抜いていい子にしてろ、な?」 「うぅ……、ら、ラルフ、なんだか、変……っ」  ゆっくりとナカを拡げるように、そして「弱点」を探すように指を動かす。傭兵時代の知恵がこんな形で役に立つのは皮肉なモンだが、この哀れな恩人を救えるならいいもんだ。問題は、エルフの身体がヒトと同じようにできているか、だが。 「ラルフ、やっぱり、こんな、」 「俺を疑ってんのか? 「森の賢者様」の知識には無くても、世界には真実が色々有るんだぜ」 「ほ、本当に? 私をからかっているのでは、なくて?」 「んなわけあるかよ、俺は最初からずっと真面目にお前のことを思ってやってる」 「高慢な私に恨みがあって、陰湿な嫌がらせをしているわけではなく?」  自分が高慢だって自覚は有るのかよ。呆れて呟いて、背中をポンポンと叩く。 「陰湿な嫌がらせをされたくなけりゃ、ちいと言動を改めろよな」 「そうは言うが、」 「ほら、お喋りじゃなくて、身体に集中しろ。じゃねえと終わらねえぞ」  そう言って、ぬるぬるとシェラの胎内を指で押し上げた。その時だ。 「あ、ァっ!?」  今までにない甲高い声を上げて、シェラが仰け反る。自分の喉から出た悲鳴が信じられないのか、すぐ手で口を覆っているが、困惑したように俺を見つめる瞳は濡れていた。  そんな様を見て、俺がにっこり笑う。するとシェラはまた嫌な予感がしたらしい。ふるふると首を横に振ったけど、まあ無視した。

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