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第1話

夜が来るのが嫌いだ。 いや、夜でなくてもそれは起こるけれど。 ミサキは逃げようもないのに、それでも抵抗を続ける。 今までありとあらゆる抵抗をした。 逃げ出しもした。 でもそれは現実の鎖に繋がれていないだけで、実際には囚われているのだとさらに思い知らされるだけだった。 部屋に鍵をかけようと、バリケードをつくろうと。 どこかへ逃げようと。 コイツは追ってくるのだ。 ドアを蹴破り、バリケードを壊し、どこへいても見つけ出して。 だから。 今はわざわざドアを閉めたりはしない。 「ミサキ・・・」 その声はいつも困惑を含んでいる。 無理やりするくせに、何に困惑をしているのか。 服従するように跪くのもいつものこと。 服従させられているのはミサキなのに。 「愛してる。あいしてるんだ」 低い深い声は何度も哀願するように囁く。 そんなの。 知ったことじゃない。 ミサキは睨みつけ、頬を平手打ちして、拒否は示す。 パシン 高い音が鳴る。 たおやかな外見から勘違いされやすいが、オメガは非力ではない。 むしろベータ以上の筋力を誇る。 なぜなら。 アルファの相手が出来るのはオメガだけだからだ。 この世界には3種の【人間】が存在する。 アルファ、ベータ、オメガ。 人間の形をしているだけの、人間(ベータ)とは遺伝子も何もかも違う怪物、アルファ。 凄まじい筋力と優秀な頭脳。 実質的な社会の支配者で、アルファ達はアルファ同士の戦いこそを目的として生きている。 そう、誰も言わない。 アルファが怖いから。 でも誰もが知ってる。 アルファは人間ではない。 化け物達だ。 でも。 アルファはベータやオメガから生まれる。 そして確かに11歳ごろまでは人間だったのだ。 突然、変化が起こり、アルファへと身体が造り替えられるのだ。 アルファは闘争や性欲や支配欲が本能にあり、それに忠実だ。 彼らの凶暴な性欲に向きあけえるのがオメガであり、アルファの番として存在する。 オメガは、アルファ以上の肉体の耐久力と、アルファに準じる筋力を持つ。 美しく儚げな外見の者が多く、アルファだけでなくベータさえもその魅力に惹かれる。 だが、オメガもまた、人間離れしている。 オメガを襲おうとしたベータ達がオメガに叩きのめされるのは良くあることだ。 オメガもまた、人間(ベータ)とは違う生き物なのだ。 10歳頃まではベータと同じだったのもアルファと同じで。 だが、アルファ以上の耐久力をもち、ベータ以上の筋力を、持とうと。 アルファに組みしかれたなら、オメガは終わりだ。 それは1つにはベータやオメガを遥かに凌駕する、そう、化け物であるアルファの筋力の凄まじさももちろんあるが、それ以上に。 オメガはアルファのための生き物だからだ。 どれほどミサキに殴られようと、ソイツはミサキに腕を伸ばしてきた。 大きな身体にのしかかられ、ミサキの服はまくりあげられ、そこを撫でられた途端、ミサキの抵抗は消える。 ああっ 高い声が漏れてしまう。 ミサキの白い胸に色づく、女性のように発達した乳首をその手のひらが捏ねあげたからだ。 「尖ってる」 嬉しそうに言われて、唇を噛む。 コイツが部屋に入った時から、もう身体は反応していたのだと分かってた。 またソイツを殴ろうとミサキはする。 でも手のひらでゆっくり尖った乳首を転がされて、もう片方の手でわき腹を優しく撫でられたなら、もうミサキの身体はダメだった。 ああっ いやっ いやぁ ミサキは首を振って叫ぶ。 番の指は特別なのだ。 オメガの身体はアルファに反応してしまう。 どんなアルファに抱かれても、ミサキは感じてしまうことを知ってる オメガは、アルファのために存在しているからだ。 でも。 番となれば、さらに。 どうしようもなく。 ミサキは嫌だと泣きながら、でもその指と手が与える快感に焼かれてしまう。 尖る乳首をさらに凝らせる手のひら。 転がされ、芯を潰される感覚に酔う。 わき腹の骨を優しく撫でるその指先の熱さに皮膚が溶けてしまう。 大きな身体なのに、獣のくせに、その指先も手のひらも、繊細で。 嫌がるミサキの気持ちをすり抜けて、身体を甘く溶かしてしまう。 いやぁ いやっ ミサキは泣く。 でも、身体はその手に融けて、崩れている。 皮膚の下はもう、ドロドロになって、ソイツのために疼いている。 「ミサキ・・・」 耳元で囁かれる声の低さと、濡れた声に震えた。 嫌いなのに。 でも。 身体は蕩ける。 番だから。 そうされたから。 オメガの本能が。 この男にだかれろ、抱かれたい、犯されたい、と叫ぶ。 じっとりと胸を揉みこまれ、手のひらで乳首を転がされ続け、肌の熱さをあげるように撫であげられ、どんどん身体に熱は溜まって、叫び、その熱を吐き出したくなる。 でも。 嫌だぁ ミサキは泣く。 ソイツはため息をつく。 辛そうに。 辛いのはミサキなのに。 ソイツはミサキの唇を指でなぞったが、キスはしない。 この男はミサキの喉まで犯すくせに、キスだけはしない。 したがっているのは知ってる。 でも、しない。 代わりに項を舐められた。 項に残る歯型を愛おしそうに。 これは。 どんな首輪よりミサキを縛るモノ。 ミサキを閉じ込める印。 でも、舌でなぞられるだけで、ミサキは背中を、首を仰け反らせた。 仰け反った喉を、胸を、いやらしくソイツの手で撫であげられる。 それがどんなに感じるかを、コイツは知りつくしている。 「身体だけでいいんだ。身体だけでも」 低い深い声。 囁かれる言葉に意味等ない。 「ミサキ。愛してる」 完全に反り上がった身体、張り詰めた胸の筋肉を撫でられ、乳首を指先で捏ねられたなら、ミサキは叫ぶしかない。 気持ち良かった。 気持ちいい、どうしようもなく。 もうミサキはコイツの言いなりになる。 オメガの身体は。 そういう風に作られている。 アルファのためだけに。 嫌い 大嫌い でもミサキはそれだけは叫ぶ。 赦さない。 赦すものか。 「すまないミサキ。でも俺は愛してる」 掠れる声の悲痛さなど、知ったことか。 でも、ミサキはもう抵抗は諦めた。 朝まで。 この男のモノに貫かれ、何度でも絶頂を迎えるだろう。 それを。 身体はもう望んでいた。 それが悲しかった。 オメガなんかに。 なりたくなんかなかった。

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