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第64話
ミサキは焦らされきった身体を、充分すぎるほど満たされた。
子宮口さえこじ開けるような大きなペニスは、存分にミサキの孔を擦り上げた。
容赦なく責められた。
ゴリゴリと擦りあげられ、激しく突き上げられ、何度も角度を変えて責められた。
ミサキの孔はそのペニスを知っていて、だからこそその形にすぐ馴染み、吸い付きほしがり、絞りとった。
ミサキは華奢な身体をしならせ、反らし、尻を淫らにくねらせて、与えられる快楽に溺れていた。
獣がそれをうっとりと見つめる。
「可愛い・・・可愛いいいい。喰っちまいたい」
獣の声は飢えていて、その声にさえミサキは感じた。
「違う・・・やさしくしたい・・・酷いことなんか・・・違う・・・」
低い傷付いたような男の声が獣の声に混じり、それすらミサキを陶酔させた。
その言葉の意味を聞き取ることは無かったけれど。
突き上げられながら乳首に歯を立てられ、ミサキも獣みたいに哭いた。
アルファの頭を抱えこみ、もっとその歯や舌や唇で、そこを虐めて欲しいとねだる。
柔らかな背中をそらし、もう勃起もしないペニスからダラダラと射精をしながら。
シンに散々虐められた乳首は、だからこそ許されることなく、責め抜かれる。
シンの気配を消し去るかのように。
シンが与えた甘さは、強欲にほしがり、奪い尽くす快楽に書き換えられる。
唇へのキスだけはされなかった。
迷うように唇はそこに来ても、唇ではなく肩や喉を噛んだ。
血がにじむまで。
ミサキはそれをよろこんだ。
噛まれる度に、痺れるほど気持ち良かったから。
噛まれて出される。
孔の中で出されるとミサキの身体は一番感じる。
オメガはアルファを求めるように作られているから。
「いっぱい・・・いっぱい欲しいぃぃ・・・」
ミサキは舌足らずに言う。
ヒクヒク身体を痙攣させながら、だらしなく唇を開き、濡れきった目で見上げながら。
誰を見ているのかも自覚していないのが分かっているはずなのに、
ミサキを犯す獣はその目に見つめられて喉を鳴らす。
獣はまたそれに煽られ、唸り声を上げて突き上げを繰り返すていく。
だけど。
唇にはキスはしないのに、獣はどこを噛みたいのかは明確に示してきた。
項を何度も舐めあげられた。
吸われて、舐められる。
項を責められながら、一番欲しい射精を何度もされる。
「ミサキ・・・もうダメだ。他の誰にも渡せない」
声が囁かれる。
「噛ませてくれ」
必死な声がする。
「嫌っ!!」
快楽にドロドロにされながらもミサキはそれだけは拒否する。
項ばかりを甘く吸われて、舐められて、その度に中を激しくかき混ぜられ、突き上げられて、ここを噛まれさえすればもっともっとしてやる、と言葉にならない行為で教え込まれても、ミサキは拒否をする。
「オマエなんか・・オマエなんか・・・嫌いいぃ・・・」
ミサキはそう言いながらしがみつき、アキラの背中に爪を立てる。
ミサキの中はアキラに懐き、悦んで吸い付いてくるのに、感じて震えて、ミサキはしがみついてくるくせに。
ミサキは拒絶の言葉しかよこさない。
アキラは激しく穿ちながら、何度も何度も懇願する。
焦らされきって辛かっただろう、ヒートはもっと辛い。
こんなものじゃない。
俺が番になればヒートの辛さを恐れなくてもいい
こんなに欲しがっている身体に俺ならいくらでも与えてやれる。
ほら、俺のが好きだろ?
こうされるのが?
突かれるのがいいか?
ほら、してやる。
ゆっくり回されたいか?
ほらしてやる。
ここを思い切り擦られたい?
ほら、いいだろ?
もっともっとよくしてやる。
やるから。
これが・・・
好きだろ?
それは、アルファがいかにも言いそうな言葉と、えげつないほどの責めで。
アルファがオメガを番になることを受け入れさせるためにするような行為だった。
ただ1つ違ったのは。
アキラがこれらを泣きながら言ってることだった。
アルファはこんな風には泣かない。
オメガをどんなに愛していても、執着していても、こんな風に泣いて懇願などしない。
「愛してくれなくてもいい。都合良くヒートの時に使うモノだと思ってくれたらいい。お願いだ。他のだれかの番になんかならないでくれ」
アキラの涙はミサキの頬に落ちる。
ミサキは首を振る。
拒絶する。
そのくせ、与えられる快楽に蕩けている。
「嫌っ!!いやぁ・・・・オマエなんか・・・キラ・・い」
ミサキはそう言いながらすがりつく。
アキラは。
アキラは
泣くのを止めた。
アキラの顔から全ての表情が消える。
「・・・・・・それでも。ミサキ、お前を誰かに渡せない。渡せないんだ!!!」
アキラの声は平坦だった。
アキラは繋がったままミサキを裏返した。
背後から寝たままつらぬく体勢になる。
アキラはゆっくりミサキの項を舐めた。
唸り声。
獣が肉を前にする声。
ミサキは怯えた。
無理。
そんなの無理なはず。
「許可」はあたえてない。
アルファはそんなことできない。
出来ないはず。
そして。
オメガが許可を与えていないのに。
そんなことできないはずなのに。
アキラはミサキの項に歯を立てた。
アキラに項に歯を食い込まされながら、突き上げられるセックスは。
絶望の中であるにも関わらず。
ミサキは肉体の快楽を知ってから一番その快楽に狂った。
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