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2日目(朝):問診

朝、昨日のせいか怠い体を動かし診察室Aに向かった。 コンコン 皇「先生、皇です。朝の診察にきました」 五十嵐「入っていいですよ」 診察室に入ると、昨日と同じように五十嵐先生が椅子に座ってこちらを見ている。 先生の細くて長い繊細の手。 あの手で昨日…。 いやいや!なに考えてんだ俺! 五十嵐「どうかしましたか?」 先生の優しい微笑みを見て、恥ずかしさで伏目になってしまう。 先生の顔直視できないっ。 五十嵐「ふふ、何を恥ずかしがっているのですが」 皇「い、いえ!そんなことは」 図星をさされて、思わず両手を振って否定してしまう。 五十嵐「朝は、簡単な診察だけです。緊張しないでください」 ニヤリと笑う先生。 何もかも見透かされたような笑みに、恥ずかしそうに頬を赤らめる。 変わらず視線は合わせず、俺は五十嵐先生の向かいの椅子に腰を下ろす。 五十嵐「では、診察を開始しますね」 皇「は、はい」 最初は簡単な問診からだった。 病院で書く問診票のような質問で、カルテを見ながら先生が質問をして俺が淡々と答えた。 そして、俺の答えをカルテに記入していく先生。 俺は先生の質問に答えながら、横目でチラッと先生の顔を見る。 女性のように透き通った白い肌。 面と向かって話す時とは違って、研ぎ澄まされたような鋭い目つき。 まるで、絵に描いたかのような美しさがある。 気がついたら、瞬き一つせず見惚れてしまっている自分がいた。 五十嵐「…じゃあ、最後の質問ですが」 先生の言葉にハッと我に返る。 五十嵐「昨日、自慰はしましたか?」 皇「え?」 先生の突飛な質問に一瞬頭の中が真っ白になる。 その言葉を理解するのに、ずいぶん時間がかかってしまった気がする。 皇「えと〜自慰ですか?」 もしかして、聞き間違いかと思い、質問する。 五十嵐「あれ?自慰分からないですか?オナニーですよ」 その質問の意図が1ミリも理解ができないが、 先生は、さも語るまでもない当然のことのように言った。 俺の頭の中ははてなマークでいっぱいだが、 何か必要な情報なのかもしれないと無理矢理自分を納得させて、 先生の質問に答えた。 皇「してないです。」 五十嵐「へぇ」 今までの質問は、反応もなく答えを聞いていたのに、 何故か今回は、含みのある笑みを浮かべた。 五十嵐「よく、我慢したね」 俺をじっと見つめながらの先生の言葉に、思わずギクリとする。 実は昨夜、途中で目覚めた時に、昨日の診断のことを思い出し 抜こうとしていたからだ。 ただ、担当医で、しかも男で抜くなんて心苦しく思って我慢したのだ。 それを先生に見透かされて、俺は何も答えず黙っていることしかできなかった。 五十嵐「ふふ、今朝の診察はここまでです。また、夜にお願いします」 皇「は、はい。ありがとうございました」 バツの悪さから、俺はそそくさと診察室を後にした。 残された先生は、初な担当患者が出ていった扉を見つめながら、 不思議そうな顔をした。 五十嵐「ふむ、絶対自慰していると思ったんだけどな」 五十嵐「これは、落ちるまで時間かかるかなぁ〜」 五十嵐「今日の夜は、予定を変えて少し激し目にするかな」 胸が躍り、にやける顔を我慢しながら、カルテに向き合い仕事に取り掛かる。 五十嵐「今夜が楽しみだよ。皇くん」 一方、真っ直ぐ病室に向かった俺は、部屋に着くなり ベッドにダイブした。 皇「うぅ、今夜も顔を合わせなきゃいけないなんて気まずすぎる…」 皇「はぁ、夜までは適当に過ごすか」 先生の考えなんて知りもしない俺は、先ほどのことは忘れ 今日の過ごし方について考えていた。 今夜、先生の手によってめちゃくちゃにされるとは知らずに…

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