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第4話 心配と気遣いと報告

「それじゃあこの話はこれで終わり、ほら、食べよう」 「おう」  そう言って俺はフォークに手をつけてアップルパイを口に入れる。 「めっちゃ美味い!」  口の中に入れた瞬間に口の中に広がるリンゴの味。そしてパイはサクサクしてる。けどあれなんか食感が違うのがあるな。食感は似てるけどパイより硬いな。これってもしかして 「なぁ、歩このアップルパイってタルトとか使ってんのか?」 「うん。正解だよ」  俺の予想通りだったらしく歩はあっさりと答えた。 「やっぱりかなんか食感が違うからもしかしてと思ったんだよな」 「上はパイ生地でサクサクに下にはタルト生地でザクザク食感で食感が違いを楽しめるようにしたんだ。」 「へぇ、めっちゃ手が込んでるんだな。てか相変わらず歩って料理美味いよな」  中学の頃からよく歩の作った菓子を食わせてもらったけどどれも美味かったんだよな?俺は料理は無理だからマジで凄げぇ。  ただ、偶に偶に出るドッキリには毎回驚かれされるからもう少し自重してほしいとも思うけどな  まぁ、でも普段はふざけたりする一面を表に出さないからか俺に対しては毎回毎回ドッキリをするときは楽しそうにめっちゃ生き生きしているのを見るとしょうがないかと思っちゃうんだよな。それに全部美味いし 「あはは。お菓子だけだよ。それ意外は人並みだし、その肝心のお菓子も趣味のお茶に合うものしか作れないよ」 「いや、それだけでも十分凄いって。俺が作れるのってカップ麺くらいだし」 「それはさすがにどうかと思うよ。ネットで調べれば簡単なレシピとかすぐ見つかるよ」 「いや、そうなんだけどさ。つい面倒で後回しにしちゃうんだよ」  料理はできた方がいいってのは分かってはいるんだけど中々する気にならないんだよな。今は料理する男も増えてきたけど俺は料理は苦手なんだよな。 「あはは。まぁ、気持ちは理解出来るかな。お茶の方も飲んでみてよ。今日のお茶は自信作なんだよ」  苦笑いをしながらも歩は俺の意見に頷き、お茶を勧められる。 「おう!」  自信作と聞いて期待が高まる。さっそく勧められたお茶に俺は口をつけてみる 「うわ、これも美味いな!」  口の中に入れてすぐに林檎の風味が広がっていき、その後に後蜂蜜の香りと甘さが来る。そして後味はすっきりしている。これならいくらでも飲めそうだな 「すごいリンゴの味がするし蜂蜜で甘くて。あと紅茶じゃないから俺も飲みやすい」  正直アップルティーって聞いた時は不安だったけど、歩が自信作って言うだけあって飲んで見るとめっちゃ美味かった 「ふふっよかった」  そう言って安心した様子を見せる歩に俺は珍しいと感じた。大体歩は人に食べさせる時は自分の中で納得いがないものや、自身がないものは出さない。苦手なものは事前に聞くし、そういう好みを一度聞いたら忘れたりはしない。それが理由なのか歩に食わせてもらった奴は今まで外れとかなく全部が美味かった  だから安心した様子の歩は結構不思議に感じる 「歩がそんな事をいうなんて珍しいな。今日のは自信作だって言ってたのに何か心配な事があったのか?」 「そっちじゃないよ」 「?え、じゃあ何の事なんだ?」  俺はてっきり話の流れからして菓子の事だとばかり思ってだんだけどな   「いい感じにリラックスできてよかったなって思ってさ。家に来た時は無理に笑ってたけど今は自然に笑えてるでしょ」  そう言われて自然と肩の力が抜けているのに気づいた。落ち着いたと思ったけどそんな事はなかった。その証拠に自分で気づいてないけど緊張していたみたいだ。気づくと少しだけ疲れが押し寄せてきた  そんな俺の様子に気づいたのか歩は微笑みながら声をかける 「気を張り詰めてる事に自分でも気づてなかったんだね。本当にリラックスさせてあげられてよかったよ。色々考えた甲斐があったよ」 「ありがとうな歩?因みにどんな事を考えてたんだ?あと心配させてごめんな。」  わざわざ考えるような事って何かあるのか? 「謝らないでよ弘。こういう時はありがとうって言ってよ」 「そうだな。ありがとうな歩」 「うん。どういたしまて。それで僕が考えた事だけど1週間も連絡取れなかったし、家に居ても会えなかったし、家に来た弘が滅多に見ないほどに落ち込んでいて珍しいから何があったのかなって」 「えっと、その節は本当にすみません!」  1週間も連絡せずに心配させていた事実にめちゃくちゃ罪悪感が湧いてくる 「ふふ、別にいいよ。無理して笑っていたくらいだから気にしないで。ただ相談して欲しかったなとは思うけど気にしてないから大丈夫だよ」  いや、それ絶対気にしてるよな?という言葉が口から出かけたが何とか飲み込んだ。もし口に出そうものならその後が怖いからな。 「てか俺そんな分かりやすく落ち込んでたか?」  とりあえず話を逸らす事にした。歩ってバレたら面倒なところで勘がいいから自分の思考を切り替える為にも話を替える。それに何となく気になった事でもある。家族にも気づかれなかったのに自分で結構落ち着いたと思ってたからな  そんな疑問から聞いた俺に対して歩は 「僕らって似てるから何となく分かったんだよ」  と短くそう返す。 「そっか」  言葉は少なかったけどその言葉だけで何となく納得してしまった 「まぁ、そんな訳で何があったか心配だったから元気づける為にお茶とお菓子は何を作ろうかなって考えたんだ」 「え、わざわざ考えたりしたのか?」  俺が落ち込んでる理由を考えるのはともかくお菓子とかお茶にでそんな考える要素ってあるのか?確かに手が込んでるなと思ったけどわざわざ考えてたのか 「うん、そうだよ。まずはリンゴを使おうと思ってね。弘はリンゴが好きだから元気がでるかなてっ思ったし、リンゴ自体にリラックス効果があるからアップルティーにしようと思ったんだ。そこからお茶に合うものの中で弘が好きなアップルパイを選んだんだよ。でも紅茶が苦手だからちょっと悩んだけどリラックス効果のある麦茶があったからそれを代用したよ」 「マジで?」  え、お茶だけでそんなに考えてたの?そんなに俺の事気遣ってくれてたのか?  俺が弘の言葉に思考が止まった間にも驚くことにヒロの説明はまだ続いていた 「嘘言ってどうするのさ。あと蜂蜜を入れたのもリラックス効果があるからだよ。それとお菓子をアップルパイにしたのはこれにもリンゴが使われてたし、アップルティーに合うお菓子だったからだよ」 「お前マジでお菓子とかお茶でそんなにも気を遣うとか凄いな」  こういう細かいところまで気を遣えるところがあるから中学からモテてだんだろうな 「あはは。さすがに誰にでもはしないよ。大切な友達が心配だからここまでやったんだよ。それに事前に連絡をもらってたから用意する時間もあったしね。昨日の内に作っておいたしね。それに1日置いた方が美味しくなるからね。」 「えっ、昨日のうちに作ってたのか?」 「あれ?言ってなかったけ?」 「いや、言ってねぇよ」  仲良くなってから知ったけど歩って変なところで抜けてるんだよな。それも別に大きな問題にならないものばっかりだし。……もしかしてそれが理由か?大して問題にならないから気が抜けるとか? 「まぁ、それは置いといて。他の人だったら苦手なものがないか確認をしてお茶と作り置きのお菓子を出すだけだよ」 「いや、それだけでも十分すげえよ」  本当はいい奴とか優しいよなとか言おうと思ったが直前でやめた。歩はそう言われるのを嫌がるんだよな。なんでなんだろうな。未だに教えてくれないんだよな。本人から言わせると時間が解決するって言うけど、本当にそうなのか?  まぁ、自分で向き合いたいって言ってるのに俺が何かするのは良くないよな 「別に凄くはないよ。ただ、僕がやりたいと思ったんだ。だからやってるだけだよ?」 「いや、それが凄えんだって」  そう思えるからお前は優しいし、いい奴なのにな 「というか。僕の事はいいんだよそれよりも弘だよ。今日会う事にしたっていうのはつまり、気持ちの整理が落ち着いたって事だよね」  そう言われて俺はドキッとしてしまった。そりゃ誰でも分かるよな。1週間まともに取り合わなかったのに急に会おうってなったら 「……あーうん。まぁ、そう……だな一応は」 「話したくなったら言ってよ。急かしたりはしないから」  歩にそう言われて俺はほんの少しだけ安心してホットしてしまった。歩の言う通り確かに落ち着いてきてはいた  でも、あの時と同じでいざその時になると全然だめで頭ん中が空っぽになって何を言えばいいのかわっかんなくなる 「お茶のおかわりはまだあるから好きに飲んで。さっき説明したけど多少落ちつくと思う」 「……ありがとう」  俺は絞り出すよう声でなんとかそれだけを返して、歩に言われた通りにお茶を口にする。 「……ふぅ」  効果を説明されたからか自分でもなんとなくだけど落ちつけた気がする。俺はもう大丈夫かと思い、もう一度口を開こうとしたが 「……えっとさ」  俺の言葉は続かなかった。あの日の事を言おうとするとさっきと同じように考えがぐちゃぐちゃになって喉が渇いてしまって口を閉ざしてしまい、またお茶を飲んだ  そんな事を何度もやってしばらくしてから 「……あのな。俺の告白したんだ」  ようやく喋り出せた。

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