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第14話 はじめましてと珍しいもの

 あの後も俺は暫くの間道で蹲っていたんだが歩に  「はいはい。入学式初日から遅れるとか良くないから歩いてね」  と言われながら引っ張られて学校に到着した。そして今は教室に向かってるところだ。歩って見た目は細いのに結構力が強いんだよな  まぁ、本気を出せば俺の方な強いんだけどな。それに力に限らず運動系は俺の方が上だ。実際に何度も結果に出てる。出会った頃はめちゃくちゃ仲が悪かった俺と歩は中学の学力テストや体育の時間によく勝負をしていた  悔しい事にテストの方は大体俺の負けだった。勝つどころか引き分けすらあまり取れなかった  けどその代わり運動系は大体俺の方が勝ってたんだ。プライドが高い歩の負けた時に見せるあの#外行き用__委員長モード__#の時の貼り付けた笑顔が引き攣って崩れそうになるのは見ててスッキリしたな 「………」 「うわっふ!?」  なんか今めっちゃ背筋が寒くなった。嫌な予感がして歩の方を見ると笑っていた  あっやばい。これ多分ろくでもない事を考えてたのに気づかれたっぽい 「弘」 「は、はい!何でしょう歩さん」  思わず敬語になってしまった俺に不思議そうに首を傾げているが俺からするとわざとらしいという感想しか出ない 「なんで敬語なの?」  目の前の歩く爆弾を刺激したくないからだよ!と言いたいがそんな事できるはずもなく 「あ、いやなんとなくかな。それでどうかしたの?」  適当に誤魔化すしか出来ない。もう既に今日は朝一回刺激したからこれ以上は気をつけないとだ 「別にどうって事はないけど、もう教室だからぼうっとしてないでね」 「えっ?」  見ると歩の言う通り俺達はもう教室の目の前にまでいた。落ち込んだり、変なことを考えてないで切り替えないとだな 「あ、本当だな。あんがとな」 「どういたしまして。それじゃあ入ろうか」  その言葉通り俺達は教室に入る。中には既に生徒が何人かが来ていた。因みに俺達のクラスは1年1組の教室だ  俺は自分の席があるだろう場所に向かって歩き出す。俺の名前からして名簿順的に『い』は大体前の方だから直ぐに見つかった  今年は名前が『あ』から始まる生徒はこのクラスにはいないみたいで俺の咳は廊下側の1番前の席だ  げぇ。1番前とか嫌なんだけどな。まぁしょうがないか。みると隣の席にはもう既に座っている男子がいた 「なぁなぁ。俺犬伏弘って言うんだ。よろしくな!それで隣にいるのが伏見歩な!」 「よろしくね」  声をかけた男子は急に声をかけられて驚いた様な様子だったけど直ぐに返事をしてくれる 「え?あっ僕はきすず空って言います。よ、よろしく」 「へぇ、珍しい苗字だな。どう書くんだ?っめいうか固い固い。俺ら同い年でクラスメイトなんだし、もっと気楽に行こ!あっ俺の事は呼びづらいだろうこら弘でいいよ!俺も空ってよんでいい?」  なんか固い反応だったので話しやすいように明るく振る舞う 「え、あっうん。分かった」  俺の目論見は成功して了承を得る事ができた。俺が見た感じなんか空って断るのは苦手そうだな。あとあいでに流されやすそうだ  空はどこか自身が無さげで大人しそうな顔つきをしている。そして話しかけてみた感じ多分表情通りの通りの性格っぽい。表情のせいなのか少し分かりずらいが顔は整ってる方だと思う  俺が空の性格をざっと予測していると後ろにいた歩から声がかかる 「こーら弘。あんまりきすず君を困らせた メだよ」  とお叱りを受けた 「え別にそんな事はないだろ。………えっ空もしかして嫌だったのか?そうだったらごめんな」 「え、いや別にそんな事はないよ」 「ふぅ、良かったぁ」  俺は空の確認を取って一安心して直ぐに歩に向き直る。ついでにどやる 「ほら見ろ歩。空は嫌がってないってさ」 「きすず君大丈夫?嫌ならはっきり言っていいからね。弘はお調子者だけど悪い子じゃないから別に気にしないから先に言って置いた方がいいよ」 「えっ!歩その言い方酷くないい?って言うかさらっと無視するなよ〜」  てか今は#外行き用__委員長モード__#なのになんか言葉がきついきがする。今日だけで2回も魔王モードのスイッチが入りかけたからそれが原因なのか? 「あはは。大丈夫だよ。友達がくるのを待ってて暇だったから寧ろ話しかけてくれて嬉しかったよ。ありがとうね弘君。伏見君」  苦笑しながら言う空からは無理して言っているようには見えないので本心なんだろうというのがわかる  そう言ってくれるとこっちまで嬉しくなるな。いい奴だな空は。そしてその言葉を聞いた歩は安心したような顔を見せる 「そう?ならよかったよ。あっ僕も歩でいいよ。その代わりに弘と同じように空君って呼んでもいいかな?」 「うん。全然大丈夫だよ」 「ありがとうね」  あれなんか歩初対面の相手にしては結構気を許してね?笑顔が優しい。珍しいな#外行き用__委員長モード__#で俺以外に対してマジの笑顔とか久しぶりだ。だいたいはいつも#悪魔モード__出してない面__#が少し顔を出すって感じなのに  だが俺は珍しい光景ではあるけどどこか納得していな。なんとなくだけど空は外行きの時の歩の歩に雰囲気が似てる気がするんだよ  あっ、あくまでも#外行き用__委員長モード__#の時だけだ。歩と違って腹黒って感じではないと思う  今の雰囲気からしてもしかしたらこの2人本当に気が合いそうだな。それに今まで考えた事なかったけどけど歩の性格からして空みたいなタイプはーー」 「あっ、そういえば」  空の声が聞こえたので思考を中断する。大した事じゃでもないしこれは後で直接本人に聞いてみよう。今は空ともう少し話していよう 「僕の名前は鈴木って言う苗字を逆にしただけだよ。それで木鈴」 「へぇもしかしてとは思ったけど本当にそうやって書くんだね」 「え?あっそういえばそんな話してたな」  珍しいものを見ててすっかり忘れてたな。  そんな俺の反応に対して2人は苦笑を浮かべている。こいつら絶対直ぐに仲良くなるな 「えぇ、弘君が聞いてきたんだよ?」 「もう。そうだよ弘。自分が聞いたんだからしっかり覚えておこうよ」 「あっ」  2人の言葉に俺はさっきの自分の発言を思い出す。別の事を考えてたからすっかり忘れてたな 「いやぁ、ごめんってなんか珍しいものを見たからついそれに意識取られちゃったんだよ」  そして歩と空は2人して首を傾げる。ねぇ、君たち俺の知らないところで既にあってたりしない?  なんとなく雰囲気で似てるなぁとは思ったけど、やっぱり俺の勘は当たるな。これ絶対直ぐに仲良くなる。というか今の時点で結構相性いいだろ

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