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第13話 新しい制服とヘタレ

「はよう空!」 「うん。おはよう弘」 「いやぁ、新しい制服似合ってるね!なんかすっごい大人っぽい。相変わらずイケメンで羨ましいよ」  中学を卒業して高校に入った俺達は新しい制服になった。新しい制服ってなんとなく気分が上がるんだよな。その気分のまま高校生活も悠真との恋も頑張ろうと思ってる 「あはは。お世辞でも嬉しいよ。ありがとうね。弘も似合ってるよ」  俺にも似合ってると言ってくれるがこいつと比べると俺は結構しょぼい。イケメンの歩は制服を着ていて凄い絵になってなんか差が凄いんだよな  俺らの高校はブレザーだから表向きは落ち着いた雰囲気を出してる歩に余計に似合うんだよな。これが学ランだったらまた違ったんだろうか  歩は本気にはしてないけどイケメンだ。まぁ表面上の性格だったら本当にお世辞だって考えるんだろうが  けど隠してる部分の事を考えるとかっこいいってよく言われるから嫌でも自覚するだろうし、あの性格を考えると多分どうでもいいって思ってるか、寧ろうざがってるんだろうな 「まぁ雑談は短めにするとしてどうして弘はここにいるの?」 「うっ」  優しい声と困ったような顔で質問をする歩  けど俺には分かる。これ絶対呆れを含んでる奴だ。もし今ここが外じゃなかったらモロにそうしてた奴だ  そして俺はその質問に思わず、変な声を出してしまった。そしてそれだけじゃなく気まずさから歩の顔を見れずつい目を逸らしてしまう 「僕昨日言ったよね。結局テンションが上がりすぎて、落ち着ける自信がなくて卒業式の日まで悠真に会えなかった弘に提案したよね」  そう。歩の言う通り俺は昨日歩と話していた。内容は聞いて分かる通りに舞い上がり過ぎた俺に歩がアドバイスをくれたんだ。歩の言い方的に多分ちょっと怒ってる。そして歩のアドバイスの内容は 「せっかく入学式の日から付き合うんだし、明日は一緒に登校したら?って」  というものだった  そして外行き用の時には珍しく歩の声はどこか攻めるているように感じた。まぁ、それは仕方がない  どうすれば悠真との関係が上手くいくか。悠真はノンケなのでより一層気合いを入れる必要があった。そして相談を歩をしてさっきの提案をされたんだ  そう提案されたわけなんだけど俺は今ここにいるわけで 「いや、そのなんていうかさ。やっぱりなんか朝からてっていうのはやっぱり恥ずかしくてさ。てへっ」  気まずさから話を逸らそうとしたが無理そうなので諦めて適当に誤魔化してみたんだが 「………」 「あっいえ、すいません何でもないです。ただ日和って出来なかっただけです」  目が笑わずに笑顔になり#マジギレ__魔王モード__#になる雰囲気を察して慌てて謝り、正直に白状した。危なかった。あと少しで圧も出るところだった 「はぁ。もう、普段の元気な弘はどうしたのさ。まぁ、変に悪い方向に考えて突っ走るよりはマシかな」  珍しい事に頬を膨らませながら喋っていた。あまりに以外な光景に 「えっ歩お前拗ねてんの?めっずらしい!えっマジで!?」  と思わず大声で叫んでしまっていた。そんな俺の反応が気に入らなかったのか、歩はますます不機嫌そうな顔になる 「もう、なんなんのさ弘。僕だって拗ねる事はあるんだよ」 「えっ、いや。だってマジで珍しいじゃん」  普段の歩はそこそこの頻度でドジやうっかりをやらかしているが問題にならないものだったりその時に直ぐに自分で対処できる問題ばかりなので他の人にはその事実は知られていない  なので周りの人間からはしっかり者に見られている。それにやらかしても顔や態度に出さないから歩の穏やかな対応もありよく大人びて見られている  だからこんな風に子供っぽい一面を見せるのは結構珍しい。歩と2人だけの時は悪魔モードでぶっきらぼうな対応をする。そして委員長モードの時はいつも穏やかで落ち着いてるからこんな風に拗ねるのは本当に珍しいんだよな 「もう。それは今は置いとくよ」  自分でも珍しい自覚があるのか、少し強引に話を終わらせる歩。正直弄ってやりたかったがやめておいた。さっき魔王モードになりかけてたから今弄ったらその時は結構面白いだろうな。けどその後に速攻で俺が泣かされる未来しか見えねえからだ 「まぁ、過ぎた事を考えても仕方ないね。初めての恋だし日和るなっていうのも無理かもしれないね」  今度は苦笑を浮かべて優しい声音で話す。これ悪魔モードだと絶対にジト目と呆れた声がセットだったろうな  よく思うけど、こいつ表裏に差がありすぎじゃないのか?しかもどっちも素ってのが未だに信じられない。優しいところところか世話焼きなところ意外は口調だけじゃなくて性格変わってないか? 「けど、よかったの?入学式で恋人と登校とか、いい思い出になったんじゃないかな」  俺が歩の2面性にいて考えていると聞き逃せない言葉が聞こえて一瞬何も考えられなくなる。けど直ぐにその言葉を理解した 「………あっ!?そっかそうだよ。絶対にいい思い出を作れた奴じゃん!うわぁ失敗した」  卒業式に告白をして付き合う事になって入学式に一緒に登校。マジでテンション上がるイベントじゃん!落ち着かないからって日和った俺の馬鹿! 「うわぁ!あの時の俺なんで日和ったんだよ!」  俺は思わず道の真ん中で叫んで蹲ってしまった 「はぁ。これだと突っ走るのと大して変わらないかも」  ぼそっと呟いた歩の声に俺は気づかなかった

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