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第12話 報告とこれから先のこと
「って言ってなんでまだちゃん付き合ってねぇんだよ?」
あの2度目の告白の後にもう少し話してから悠真は家に帰った。そして今は近くにある自然公園に歩と2人でいる。もう夜遅い時間で公園には他に人がいない
そんな場所で呆れた顔をしながら不機嫌そうな声を出している歩。頭に手を当てて頭痛を堪えるようにしている。なんか歩は今日一日でよくコロコロと表情が忙しなく変わってる気がする。顔疲れたりしねぇのかな?
「にゃはは。いや、そのなんていうか。な?」
歩の言葉通りあの告白の後俺は悠真と直ぐに付き合い始めた訳じゃない。その話を聞いたのが歩の表情の理由だ
まぁ、そんな顔をさせている原因が俺だからちょっと気まずい
「な?、じゃねぇんだよ。それで分かる訳がねぇだろうが。1日の内にまさか2回目も呼び出したのそんな適当な説明で済ましてんじゃねぇぞ。とっととちゃん詳しく説明しろこのバカ猫が」
「あっはい。すいません」
適当に誤魔化そうとしたけど、歩の顔が笑顔になりそうで即謝る。歩は本気でキレると笑顔を浮かべる。その時の笑顔は顔は笑ってるのに目は全然笑わずに、めっちゃ圧が出てる。しかもなんか背後に黒いものが見えてるくらいだ
顔だけは外行き用の顔なのに、目と圧が普段隠してるものでそのアンバランス差がめちゃくちゃ怖い
あの歩を見た回数は少ない。中学の頃はクラスメイト達からはブチギレ状態を魔王モードと呼ばれて恐れてられていた。幸いにも見た回数は少ない
確かあの状態になるのはいつもバカやってたクラスメイトが教室でボールで遊んでたんだっけか。あの日は朝に教室に入った歩の顔面に綺麗に直撃したのを今でもよく覚えてる
あの時は本当にビビった。あの瞬間教室の室温が下がったような錯覚がしたもん
歩はいつもバカやってる奴らを笑って注意をしている。その時もいつもと同じ笑顔だったけどそれが見た目通りのものじゃないって事はクラスにいた全員が直感的に理解していた。いやさせられた。それくらい凄い圧を放ってたんだもん。なのに表面上だけはいつもの優しい歩でその不気味さがめちゃ怖い
あの歩を見てからはいつも注意されても変わらずバカやってたクラスメイトはそれ以降は歩の言う事を聞いてすっかり大人しくなっていた。まぁ、それも仕方ないんだよな
だってそのバカやってた奴ら以外もその日1日中は#ブチギレ状態__魔王モード__#の歩を刺激しないように全員が大人しくしていたし。しかもそれはクラスメイトだけじゃなく、大人も同じようになっていた。先生達も歩の異様な雰囲気を怖がって話しかけられずにいてその日は朝から教室は静かになっていた
いや、ってかそもそも大人もビビらせるって歩マジやばくね
まぁ、翌日からは普段通りに戻ってくれたからまだよかった。あれが1日で終わらなかったとか考えたくねぇし
余談だがヤバい一面が明らかになったのに翌日から歩の女子人気が上昇した。何故に?何でもドSっぽくていいとか言ってたけど女子ってそういうの好きなのか?とナチュラルに疑問だったな
俺が話に関係のない事を考えてる事に気づいたのか、歩が声をかけてくる
「はぁ、それでなんで直ぐに付き合わないんだ?関係ない事を考えないでしっかり教えろよ」
俺そんなに分かりやすかったか?でもまぁ、元から話すつもりだったのでもりだのでちゃんと説明する
「その、あいつがあいつなりに俺との関係をしっかり考えてくれてお試しでも付き合えるってなってめっちゃ嬉しかったんだ」
俺の言葉に歩は首を傾げて意味がわからないと意味が分からないと言いたげにしている。おまけにジト目付きだだ
イケメンってジト目でも絵になるんだなぁ。世の中って不公平すぎるだろ
歩はイメージを壊さない為に他の奴にはこう一面を見せない。けど別にその理由はよくある他人に好かれたいとか嫌われたくないって思ってとかは全くない
なのに優等生を演じてる理由はただ単にその方が都合がいい事があるからってだけらしい。そしてそんな簡単にころっと騙される周りの奴らを大体体見下してる
まぁ、別に隠さなくてもいいと思うんだけどな。確かに腹黒いし、素直じゃないけど、面倒くさがりだけど根っこがいい奴のままで世話焼きだか
結局は皆に好かれると思うんだよ
「だったらなんで直ぐに付き合わないんだよ」
俺がまた別の事を考えてたのがバレたのかジト目から笑顔になりそうになる
「わー、言う言う直ぐに言うから!それを引っ込めてくれ!」
ルビ
俺は魔王モードになったりされたら堪らないと何とか歩を宥める
ルビ
歩の質問は普通に考えて当たり前のものだ。そりゃそうだ。誰だって同じような疑問を持つに決まってる。だって誰でも好きな奴と付き合えるって分かったら直ぐにでも付き合いたいって思うだろうからな。けど俺は
「なんか信じらんなくて。凄え嬉しくてさ、上手く言えねぇんだけどめっちゃドキドキして落ち着かねぇんだよ!」
あいつといるだけでずっと落ち着かなくてそわそわしちまう。嬉しいけど、なんかじっとしてらんなくなるような変な感じなんだ
「それで落ち着く為に時間が欲しくて入学式の日から付き合いたいなって思ったんだよ」
「はぁ」
俺の答えを聞いた歩はさっきと同じで呆れたような声でため息をつく。いやまぁ、分かるよ何だその理由はって俺も自分で言ってから思ったし。けどそんな露骨に言わなくてもいいだろ
そうは思ったけど俺はそれを口には出せなかった。何故ならその声にはどこか悲しげで諦めが入ってるような気たからだ。何か歩が嫌がるような事をしたのか?
「まぁ、お前が元気なのは良かった」
「えっと俺そんな嬉しそうだったか?」
そんなに顔とか態度に出てたとしたら恥ずかしいな。今度から気をつけないと
「あぁ、顔が緩んでたぞ。まぁそんな目立つ程じゃねけどな。俺だから分かったくらいだから心配すんな」
「ほっ」
それを聞いて俺は安心した
「あと何よりお前自分じゃ気づいてねぇだろう。朝家に来た時と違って笑う時の猫みたいのが出てたんだよ。気が抜けてる時に出るんだ。その反応である程度は察する」
「えっマジで?」
あぁ、そりゃ無理して笑ってたのバレるよな。ってかまた気づずに出ちまってたのか。わー恥ずいからこの癖なんとかしたいんだけどな
「てかそもそもの話せめて今日告白する気になったなら連絡くらいしろよ。あの話し合いの後にお前から連絡が来て付き合う事になったって言われて俺がどんだけ驚いたことか。明日またお前の話を聞くんだろなって考えてたところにそれは不意打ちだろ」
「あーっとなんかごめん。えっとさ実は今日家に帰ってからさ今日お前の家で食わせてらったアップルパイを思い出したんだよ」
「……は?」
俺の言葉を聞いた歩は「急に何の話をしてるんだこいつ?」って顔をしている。まぁ、話の流れ的人なんでそうなるんだって思うよな。けど重要な事だから俺は話を続ける
「その時にさ、お前が今日選んでくれたお茶とかお菓子って凄え細かいところまで俺の事を気遣ってくれてたろ」
「………」
「それでさ一緒に渡された奴にももしかして何かあるのかなって思ったらさ、思った通りの効果があってさ」
「っち、あれに気づいたのかよ。ってかわざわざ調べんなよ」
舌打ちをして文句を言う。不機嫌そうにしてっけど俺には分かる。これは単なる照れ隠しだ
「いや、なんとなく気になってさ。そんでさ、お前がどれだけ俺のことを心配して、気遣ってくれたのかが分かって凄えむず痒くて嬉しくなった!」
「………そうか」
おっ、そっぽを向いてるけど顔が赤くなってる。偶に思うけど、歩ってツンデレなのか?ツンデレっていうのがよく分からなねぇからなんとも言えねぇけど、これってツンデレなんじゃね?
「ってかなんでそれを今いうんだよ!」
あっ、いつもの調子に戻ったな
「なんつうかさ、こんなにも俺の事を励まして背中を押してくれる友達がいるんなら俺もちゃんとしなきゃなって思ってさ。それで気づいたら電話してたんだ」
俺の言葉を聞いた歩は複雑そうな顔をしていた。なんでだ?
「本当は電話で悠真に明日会えないかって聞こうと思ってたんだ。でもなんか、電話越しにあいつの声を聞けたら嬉しくなって。あぁ俺はやっぱり悠真の事が好きんだな。会いたいなって気持ちがなんか溢れちゃったんだよな」
…自分で言ってて凄え恥ずいな。けどこれが俺の正直な気持ちなんだ
「それで、気づいたら今日会えないかって聞いてた。まぁ、もしダメだったとしてもきっとお前が慰めてくれるんだろって思ってさ。だからあいつと話すときも落ち着いていられた。だからありがとうな歩」
「………別にお礼を言われるような事じゃねえよ」
歩の顔を相変わらず複雑そうな表情をしてる。えぇ?本当になんでそんな顔をしてるんだ?
「マジで恋してるんだな。でもってお前馬鹿みたいに純情だよな」
俺が歩の表情に疑問と不安を感じてると不意に歩はそう言葉を漏らしていた
その声は優しげで顔には呆れが浮かんではいる。けどさっき見たいな複雑な表情や嫌そうな様子は消えたのでほっと安心した。けど
「いや、馬鹿ってなんだよ!馬鹿って、っていうか仕方ないだろ!自分じゃどうにもできねぇんだから」
俺が歩に対して文句を言ったのと同時に歩の手が俺の頭に乗せられてわしゃわしゃと撫でられた
「うわっ!えっ?いや、えっちょっとまっ!なになに!?ってかまたこれか!俺は犬じゃねぇんだぞ!!」
俺の声に何も返さずに歩は何も言わずに俺を撫で続ける。いや、そんなに撫でるなよ!?だから俺は犬じゃねぇんだぞ?ってかあの流れで何でこうなるんだ
俺は疑問に感じながらも歩のされるがままになる。しばらくするとようやく満足したのか歩は撫でるのをやめた。顔をあげて俺が見た歩は残念そうな顔をしている
えっ?なんでまた顔をしてるんだ?ってか今日の歩はよく分からない反応の顔をする事が多いな
俺の考えてる事を察したのか歩は苦笑いをしながら口を開く
「ハハ。正直なもしかしたら友情と恋を勘違いしてる可能性もあるんじゃねぇかって思ってたんだよ」
その言葉を聞いて一瞬何を言ってるのかわからなかった。けど意味を理解すると、イラッときた俺は直ぐに反論しようとした
「はぁ?そんなわーーー」
「けど、違った」
俺の言葉は遮られて話し続ける
「お前は本気で恋してるんだな。てかまぁ、今日話を聞いてた時からなんとなく分かってはいたんだよ。んで、今のお前のバカみたいに嬉しそうな顔を見て確信した。もう疑いようがないよなって。本気で恋してるんだってな」
一区切りをつける歩。優しい表情で自分の考えを伝えてくれていたが一転して難しい表情になる
「ノンケとの恋は難しいぞ。ちゃんと両思いになるまではいつ女に取られるんじゃないかって、やっぱり男は無理だって言われるんじゃないかって不安で堪らないだろうからな」
歩の言葉は確信を持ったような声音だった。その声から思わず
「実体験?」
と聞いてしまっていた。あまりにも確信したような声だったのでつい気になってしまった
「ふっ、ちげえよ。ただ想像したら誰でも分かる事だろ」
「いや、そうかもしんねぇけど」
それにしたってあんまりも知っているような口調だったのが気になる。俺が疑問を口にするよりも先に歩は続きを話し出す
「まぁ、そんなのは今はいいんだ。もし、両思いになれたとしてもノンケが相手ならいつか女の方がやっぱり良いって言い出すんじゃねぇかって怖くてなるだろうし、親や友達にいつか言うってなったらノンケの奴は嫌がるかもしんねぇ。それだけじゃねぇぞ。子供がいないとか社会の目とか気にする事は他にもあるんだ」
「………」
「だからお前が悠真を好きだってのが勘違いであってほしかったんだよな。お前が傷つかないか心配だったから。でもまぁ、今のお前は本気で恋してるんだよな。だったら何もしないで諦めたらお前はいつか後悔する。だから好きにしろよ弘」
好きにしろというのは歩のその言葉には優しさが詰まっていた。言葉だけなら見捨てられたり、諦められたりされた様にも聞こえる。けど違う。歩が言いたいのは応援するから俺のしたいようにやれって意味だ
「……あぁ」
そして歩の話を聞いた俺は短くそう返すことしか出来なかった。そうだよな。悠真と付き合うってなったらそういう事を考えないとなんだよな。あいつと付き合えるって事が嬉しくてその先の事が頭から抜け落ちていた
元々はそうなるのが嫌で振られる前提で告白をした。けど何やかんやあって付き合える事になって最初に考えてたことなて頭から吹き飛んでしまっていた
けど振られる前提だったから特に考えてなかったけどお試しとはいえ俺達は付き合う事になった。だからこれからの事を考えないといけないわけで。もしもそれでーー
バシン!
「いってぇ!?」
俺が考え事をしようとすると、背中に衝撃を感じた。犯人は1人しかいない
「何すんっだよ!人が真剣に考え事をしようとしてんのに」
「なんかまた悪い方向にばかり考えそうだったからな。そんな風に暗い顔をしてんなよ」
「いや、お前が言っても説得力ねぇだろ!」
わざわざ具体例まで出して説明をした奴がそれを言うのかよ
俺の言葉に歩は少し苦笑を浮かべて困ったような顔をしているが大して気にしていないみたいだ
「まぁ、そりゃそうなんだけどな。今考えたって仕方ない事だろ。だったら起こってない事を心配するくらいなら今やりたい事やできることだけを考えて行動しろよ。それに俺はお前の笑ってる顔を見るのが好きなんだよ。だから笑ってろよ」
そう言った歩の顔は珍しい事に凄く純粋な笑顔だった。どこかスッキリしたようにも見える。やっぱり俺の事でめちゃくちゃ悩ませてたのかもな
「それにお前が自分で言ってただろ。俺がいるから大丈夫だってだから気にせずにいろよ」
「あぁ、分かったよ」
歩のそんな顔をみたらそうとしか返せねぇよ
確かに起こってもない事を心配しても仕方ないよな。俺が今できること。やりたい事をやっていこう
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