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第7話 忘れようと意識しすぎると失敗する

 にしても振り返ってみると改めてやアニメか漫画みたいな出来事だなって実感するな  今日は偶々響の家に梅酒があってそれを偶々、ペットボトルに詰め替えていて、そして俺が酒にアホみたいに弱かった。そんでもって偶々1人暮らしをしているから家に人がいなくて………  って本当にマジでどんだけの偶然が重なってるんだよ。まぁ、百歩譲って1人暮らしなのはまだいい  でもそれ以外はどんないくらなんでも都合良すぎだろう。  はぁ、なんでこんな悩む事になったんだよ。あーもう、面倒くせぇ ………あれでも待てよ?そもそも結局あいつがしっかりと管理してたらこうならかったんじゃないのか?  そうすれば俺の今日一日の醜態を晒す訳がなかっただろうし  なんか思い出すとまたムカついてきたな  明日からしばらくあいつの扱いは雑にしてもいいよな。あいつのミスで負った俺のダメージのでかさを考えたら多少雑にどころか適当にあしらっても別にいいだろ  よし、明日からしばらくの間はあいつの相手は適当にすましておくか あいつへの扱いは決まったがそれだけでは思い出してきた怒りは収まらないし、怒るのも疲れるので面倒だ。なので今は思考を変える為に趣味の時間にすることにした 「っとどれを読むか」 俺は自分の本棚を見ながらどれを読むのか熟考する。買い物の時もそうだがこの何を選ぶのか考える時間っていうのは楽しい 「さーてと、どれを読むかな。やっぱりここは無難にバトルものか?最近アニメ化が決まったこっちもいいし、こっちのまだ買って読むのを楽しみにとってあるのもいいしな」  本棚の前であれもいいこれもいいと悩む。実は俺は本を買ってもすぐに読まない場合がある。購入した後に楽しみは取っておきたいと考えて、もう少し後にもう少し、もう少しとやってる内にそのままずるずるとやっちまうんだよな  まぁ、俺以外にもこういう経験を持って人間はいると思う。手に入れる前と手に入れた後だと熱量が違ってくる事とか 「さて、どれにするか………はぁ」  本棚を見ていて悩む時間を楽しんでいた俺はある箇所の本を見て自然とため息が溢れてしまった。 「まさか本みたいな出来事が自分の身に起こるなんてな。事実は小説よりも奇なりっていうけど漫画の場合も当てはまるのか?いや同格くらいか。どうでもいいけど」  俺が見てしまった箇所にあった本はBLだった。  いつか漫画みたいな純情な恋をしたいと思っていたのに、同じ漫画みたいな恋でも体の関係から始まるパターンかよ。しかも俺に来たのは王子って言えるような奴じゃなくてどっちかと言うとチャラ男だったしな 「はぁ」  俺は無意識にまたため息を溢してしまう  ………現実は漫画のように行くとは限らないってのは分かってはいるがこんな展開はないだろ。そもそも響は俺の好みとは違うからなぁ。てか今日の出来事で俺の響に対する印象はかなり悪くなったし、マシにはなっても好きなるとは思えないな  だからどうしても恋愛関係に発展するとは思えないし、そもそもあいつはどっかズレてるのが問題だ。恋愛とかそういうのよく分かってなさそうだな。あの様子だと多分今まで散々付き合った事があっても本気の恋はしてないと思った方がいいだろうな  そう言う事があって万が一俺があいつを好きになってもあいつが俺を好きになる事は多分ないだろうな  まぁ、そうは言っても長くいれば情が湧いたり予想外の事が起きる事もある。それでも俺はあいつとは恋したくない。だってあいつが本当に恋をするとは思えない。それなのに表面上は付き合ってるとかそんな不毛な恋は悲しいだけだろうしな 「はぁ、何で嫌なことを忘れる為の行動だったのに思い出す結果になるんだろうな」  こういうふとした時に気づくのって地味に嫌だな。特に楽しい気分の時だと落差が余計にあって余計に辛くなる 「ったくそれもこれもあいつのせいだ。今は忘れて好きな本を読もう」  今日の自分を意識しないように酒も出ないで体の関係から始まる作品じゃない奴を読んで忘れよう そうして俺は何冊かの本を手に取る。元々俺が持ってるBLは純情ものが多いから探すのにはそれほど手間が掛からなくて済んだ  読む本を選んだ俺は床に座り込み、読み始める。まず最初に選んだのはもうすでに読んだものだ  この作品は学園もので気持ちを伝えてから一年くらいかけてやっと結ばれるって言う作品だ。結ばれるまでに時間がかかって焦れったくもあるけど、その分結ばれるまでが丁寧に描かれていて、キャラの心情も少しすづ変化していくのがよくわかる。個人的にかなり好きな作品だ 「はぁ、やっぱり恋愛はこうでなくっちゃな」  好き同士が結ばれる。少しずつ相手のことを意識するようになって気持ちが変化していってお互いを想い合うようになって結ばれる  正直子供の恋愛感だってのさ自覚してるし、夢を持ちすぎだってのは自分でも分かってはいる。それでもやっぱり憧れるんだよな。人間関係が綺麗なものだって信じきってたのも多分理由としてはあるんだろう  けどそれなら余計に恋人にくらいは綺麗なままの理想の関係がほしい。難しいってことくらい理解はしてる。けど自分の中で夢見るくらいはいいだろ。まさか誰かに知られるとは思ってなかったしな  ………はぁ。あっ、またあいつ関連の事に思考が逸れたな。切り替えないとだな そう言えばこの作品のアニメ化が1ヶ月をきったな。楽しみだ らあっ!そう言えば楽しみといえば俺の好みに合うBLゲームの発売日がそろそろだな。BLゲームってそもそもの絶対数が少ないのにジャンルが色々あるから中々いいのがなくて残念だったんだよな  俺はファンタジー要素とか、現実離れしすぎてるのは好みじゃないんだよ。そんな中で見つけたちょっとファンタジー要素が入ってはいるけどあまり気にならないくらいで程よく俺好みの作品。見つけた時はマジで嬉しかったな  っていってもその後にまだ発売されてなくて落ち込んで、値段の高さにビビったんだけどな  それでもあまりに面白そうだったから即購入を決めたんだけどな。パソコンのゲームなんて初めてなんだよな。この前ちょうど父さんが新しいパソコンを買って古い方をもらったばっかりだったからあれはマジでラッキーだった  そういえばやった事はなかったけど予約してみるか。  初めてのBLゲームめっちゃ楽しみだな

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