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第11話 気を張っていたものがなくなくると雑にもなる

「んだよお前かよ。ビビらせんなよ」  俺は入ってきた人物を見て気が抜けてしまい、つい愚痴を溢してしまった 「いや、人の顔を見て開口一番にそれって酷くないか?」  俺以外誰もいない図書室の扉を開けたのは危惧した人物ではなかった 「まぁ、なんとなくお前の心情は察するが」  苦笑を溢しながら入ってきたのは綺麗な姿勢のスラリとした長身に鋭い目つきの男だ。瞳の奥に力強さを感じさせる鋭い目つきも中々に目を引くが、それ以上に意識が惹きつけられる特徴がある 「それなら放っておいてくれよ。お前の髪色って目に悪いんだよ。派手だから存在感の主張が強すぎるんだよ」 「いや、引き続き俺の扱い酷くないか?心配して探しにきたのに」  こいつの髪は誰でも気になる。キラキラとした銀髪なのだ。驚く事にこいつの髪色は染めてる訳じゃなく地毛なんだよな  クラスでの自己紹介の時に本人が言っていた。その時に証明書も一緒に見せていたから本当みたいなんだよな。金髪ならまだ分かっけど銀髪は聞いた事がないのでクラス全員が驚いていたのをよく覚えている 「あいつの相手に疲れてるんだよ。面倒くせえ他人の相手したくないんだよ」 「あぁ、やっぱり響に関係してるよな」  俺が雑に対応しても苦笑いを浮かべたままだ。派手な銀髪と目つきのせいで勘違いされやすいけどこいつは明るくて根っからのお人好しだ  なんでも本人曰く金髪の人間がアルビノっていう体が白くなる特徴を持つと色が抜けて普通なら白髪になるところを金髪の光沢が残って銀髪になるらしい  それでクォーターらしく父親の方の祖母が金髪らしいので多分それが遺伝されたんだと思うって言ってたのを覚えてる  確かその時にただでさえ銀髪で目を惹くのに目つきが鋭いのもあって初対面の人間にはヤンキーに間違われる事が悩みだと言うのを聞いた  その話を聞いた時のコイツの顔は笑っていた。でもどこか寂しくて悲しいって思ってるのにそういうのを押さえつけて無理に笑ってるように俺には見えた  でも最近ではそんな事がないように見えるから少し安心してる 「聞いてもいいか?響と何があったんだ?今まであんな事はなかったろ?」 「………個人間での考えの不一致と事故で気まずいだけだから気にしなくても大丈夫だ」 大丈夫だ。嘘は言ってない。真実を言ってねぇけど、事実を言ってるから問題はない!………筈だ……多分。  それにしてもコイツ1人で来たのか。てっきりあのロクデナシと一緒かと思ったんだけどな。それにあのバカが何か変な干渉をする可能性も高いし。………聞きたくねぇけど聞いておくか 「ところで旭?あのバカはどこにいるんだ」 「さぁ、俺も分からないんだよな。駆を探していて見失った響が俺に愚痴りに来たんだ」  一応念のために聞きはしたけどさすがにあいつの居場所なんて分かる訳はないか  あいつしつこいから撒くの苦労したんだよな。休み時間の度に話しかけきてんだから昼休みぐらい静かにしてろよ。そのせいで余計目立っちまったってのに。あいつはただでさえ目立って面倒くせぇな 「それで響にお前らの間に何があったのかを聞いても答えなかったし、直ぐにまた駆を探しに行ってたな。だから俺も知らないんだ。悪いな」 「いや、お前が謝る事じゃないだろ。相変わらずお人好しだな。」 「そうなのか?自分じゃあんまりわからないんだよな」  そう言って照れ隠しなのか旭は頬をかく 「本当毎回思っけど旭は見た目とのギャップが凄いよな」 「いや、気にしてる事を言わないでくれよ」 「いや。そう言われてもな。名前も含めて誰でも気になるだろ。#白銀__しろがね__#なんていう珍しい苗字で名前通りの銀髪でしかもそれが地毛だなんてまるでアニメのキャラみたいだしな」 「恥ずかしいからやめてくれ」  そう言って顔を赤らめる旭。知らない人間からしたらでかい身長と鋭い目つきからは想像できない光景だろうな  俺含め殆どのクラスメイトは最初は銀髪と目つきの悪さで警戒していたからな。けど自己紹介の時に隣の席にいた響が地毛が黒髪じゃないもの同士で声をかけていってそこに後ろの席にいたロクデナシが弄ったりしてその時にこいつが普通に明るくていい奴でついでに天然なのも分かった  そのやりとりを見ていたクラスの人間はとっつきやすくなった  まぁ、それはともかく 「悪い悪い。まぁ、響とのことはその内何とかするからきにするな」 「それはさっき聞いたから心配はしてないさ」 「そうか。それならいいんだ。ところで旭」  俺は本題を聞く事にした。本当は触れたくねぇけどそうしない訳にはいかないしな 「どうしたんだ?」 「おは前なんで俺がここにいるってわかったんだ?」  冷房が効いていて静かで快適だから偶に使うけどそんなに頻繁に使う訳じゃないのになんで分かったんだ。俺は誰かに言ったりはしてないぞ。まぁ、予想は出来てるんだけどな 「なんだそんな事か。いや俺も駆が何処にいるか分かってた訳じゃないんだ。響が探して見つからないって愚痴ってたからな」  はぁ。嫌な予感がする。口ぶりからして旭が自分で見つけた訳じゃないさそうだし、かと言って響だったら自分が来るよな。そもそも喋り方からして誰かに教えてもらったっと思った方がいい  でもってそれを教えられる奴なんている筈がないんだよな。俺が図書室を使うことは誰にも伝えてないんだから  けど伝えなくても俺の行動を予測できそうな奴を俺は1人だけ知っている 「それで俺が駆を探しに行こうと思ったら透が図書室にいるかもしれないって言ってたんだ。それで来てみたら駆が居たって訳だ」 「あぁ、やっぱりあいつが教えたのか」  だよなー。あいつしかいなよな。今日の俺とあのバカの様子を見ても大人しくしていて変だと思っていたらそうきたか 「ん?駆は透が俺にこの場所を教えた事に気づいていたのか。さすがは中学からの付き合いなだけあるな。お互いの事をよく分かってる」  俺の言葉に旭は呑気に俺達の仲の良さを賞賛する。けど俺はそれを素直には喜べない 「よく分かってるか………まぁあいつはそうだろうな」  確かに俺はあいつの事を他の奴よりは知ってるとは思う。けどそれは俺はあいつが俺を理解してる程、俺はあいつの事を理解できるとは思わない 「って大丈夫か駆。何か疲れた顔をしてるぞ?体調が悪いのか?」  急に黙り込んでしまった俺に慌てて旭が声をかける 「大丈夫だ。ちょっと考え事をしていただけだ」 「なにか悩みがあるなら聞くぞ?」 「ぷっ」  俺は旭の言葉を聞いて少しだけおかしくて感じた。それと同時にどこかあたたかさというか心地よさを感じる 「えっどうしたんだ。俺今何か変なことを言ったのか」  急に笑いだした俺に旭は戸惑いを隠せずにいた。そりゃそうだ。逆の立場だったら俺だって同じような反応をしている 「あぁ、悪い悪い。なんか同じような事を今日秋人と春人にも言われてな。それを思い出したら何となく笑えたんだ」  心配してくれる奴や頼れる奴がいるのって本当嬉しいもんだよな 「まぁ、よく分からないけど問題なさそうでよかった。さっきも言ったけど何か悩みがあるなら聞くからな。だから頼れるよ」 「あぁ、その時は頼りにしてる。ありがとうな」 「気にするな」  こいつは本当にいい奴だよな。頼むから旭。お前はどっかズレたり、捻くれたりせずにそのままのお前でいてくれ

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