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02※
ーー知りたくなかった。朝日以外の肌の感触を。
ーー感じたくなかった。朝日以外の息遣いを。
あの後、生徒会室の奥にある簡易休憩室に連れて行かれた。
類が言うには、この簡易休憩室は生徒会室にしかないらしい。ベッドとシャワールームしかないこの質素な部屋はヤリ部屋にもなりえるのではないかと疑問を持った俺は、思わずここに連れてきた類に疑いの目を向けてしまう。
すると、類はその視線の意味を汲み取った様で、
「あは、ここはね、寝たい奴がたまに使ってるだけだから他に誰か連れ込んだことなんてないよ。ここに来た一般生徒は咲良ちゃんが初めてなんだよね」
と、笑っていた。
生徒会の連中はクソムカつくが、揃って顔だけはいいのだ。正直言って、連れ込もうと思えばいくらでも連れ込めるだろう。だから類の言うことは半信半疑だった。
これから俺は、朝日ではない男に抱かれる。先にシャワーを使った俺はベッドの縁に腰掛けていた。
今シャワーを使っている類の戻りを待つ俺には、どくんどくんと脈打っている自分の心臓の音しか聞こえなかった。
すると、部屋の奥からガチャと扉を開ける音が聞こえたと思えば、肩がびくっと震えた。風呂から上がった類が上裸で出てくると、俺を見るやいなや「えっ」と呟いた。
「咲良ちゃん何でそんなに服キッチリ着てんの?これから俺とヤるってのにさあ」
「え、いや、」
「ま、いいや。脱がせて欲しいってんならお望み通りしてあげるけど」
「っ、違っ、・・」
すると類は俺の前に来たと思えばトンっと肩を押し、ベッドに寝そべる体勢になった俺に
「じゃ、はじめよっか」
と恍惚な笑みを浮かべた。
シャツのボタンを外され素肌が露わになる。すると絹の様に綺麗な類の金色の髪が頬をかすめ、鎖骨にキスを落とされるのだ。
「ぁ・・っ、」
「ん、かわいー声」
鎖骨から少しずつ下に下がっていく唇は、ほんのり色付いている突起に口付けた。
「っ、」
「かわいーね、コレ。綺麗な色だし彼氏くんに全然弄ってもらってないでしょ」
唇で乳首をあむっと挟まれたと思えば、そのまま唇で転がされるのだ。
「っ、んん、」
「ん、ひもひー?」
唇の先で乳首を転がされると時折、舌が先端に当たるのだ。その度に小さく体が跳ね、類はそれに気付いてわざとしている様だった。
「ぁ、・・っ、・・ッぅ」
びりびりと背中にまで痺れが伝わり、出そうになる声を、必死に唇を噛んで押し殺した。
「っ、ぅ・・」
「・・ね、それ、駄目だよ。唇傷付くから。声抑えるならちゅーしたげる」
すると類は乳首から口を離すと、こちらに唇を寄せてくるのだ。
「っ、キスは、ちょっと・・・、」
せめてキスくらいは好きな人としたいのだ。
あと少しで唇が触れそうになった時、とっさにバッと顔を逸らしてしまう。
「え、もしかして咲良ちゃんって好きな人とじゃないとキスとかできない?」
「・・・ま、・・まあ、」
「でも俺は咲良ちゃん好きだよ?ならいいでしょ?」
何が良いんですかと言おうとした時にはもう遅かった。言おうとした言葉ごと類の唇で塞がれてしまったのだ。
「っんん・・ッ?!」
「ん、かわいーね、咲良ちゃん」
そして唇をぺろっと舐められて驚いた俺は、思わず類の胸を押し返してしまう。
類は「え、なに、彼氏くんキスもロクにしてくれなかったの?」
と、なんとも嬉しそうに、にやっと口角を上げるのだ。
そして俺の手首を掴んできたと思えばそのままベッドに押し付けると、再び唇を合わせてくる。
「ーーんんッ」
「ん、」
唇に舌を這わせたと思えばそのまま唇を割って口内に侵入してくる舌に、思わず顔を引いてしまいそうになる。
だが、ここはベッドの上。その上類に手を抑えられていたこともあり、抜け出すことなどできるはずもなかった。
喉奥にあった舌を絡め取られると、くちゅくちゅと鳴る音が脳にまで響く様だった。
「っん、・・ん・・ッ」
「ん、っ」
ーーこんなキス、知らない。
下腹部にまでびりびりと響いて、絡まり合う舌が凄く気持ちが良かった。
朝日意外とこんなことするなんて、嫌に決まっている。決まっているのに・・。
だんだん思考が回らなくなってきている俺を見た類は唇を合わせながら笑っている様に見えた。
「っは、ぁ・・、んん」
「んっ」
角度を変えながら歯列をなぞられ、顎上を舌先でぐりぐりと擦られてだんだん視界がぼやけて来た時だった。
「ーーん、・・ぁ・・ッッ」
唇を離したと思えば、テント張った下腹部を撫でられるのだ。
「ん、・・ね、彼氏以外の人とのキスもちゃんときもちーでしょ?キスと胸だけでここもこんなことになってるし、感じてくれてるみたいで良かった」
すると、下半身に手を伸ばしたと思えば、ズボンとパンツをずるっとむき取られるのだ。先ほどシャツのボタンを外されたこともあり、ほぼ全裸の様になってしまうと恥ずかしさで一気に顔が熱くなった。
露わになったつんと反り立った性器を見た類はあはっと楽しそうに笑う。
「ぁ、これは、違くて・・」
「そこは今度触ってあげるね。今日はこっちだからさ」
「っえ、」
膝裏を捕まれ、開脚させられる。
何もかもが丸見えなこの体勢に驚いたのもつかの間、下腹部の奥、前回朝日と体を重ねてから一度も触っていない固く閉じた場所を、指の腹で撫でられるのだ。
「っ、!そこ、は・・・っ、」
「駄目なことはないでしょ?散々彼氏くんとヤってるんだろうしさ」
すると類は俺の目の前に指を差し出すと「舐めてよ」と、唇に指を押し付けてくるのだ。
これから、その舐めさせられた指で下腹部の奥を弄られると分かっているのに、舐めてたまるもんか。類を睨むとさらに楽しそうに笑った。
この男は何を考えているのかいまいち掴めない。これ以上この男に好きにさせてたまるかと、唇をきゅっとつむんだ。
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