類は断固として口を開けようとしない俺を見下ろすと、親指の腹で唇をふにふにと弄るのだ。 「っ、」 「ん、どしたの？咲良ちゃん」 　すると触るか触らないかのところで、唇をつーっとなぞられると肩がびくっと震えた。俺の反応を見逃さなかった類は、「かわいー」と呟いた。 「んっ」 「唇きもちーの？もっとしてあげる」 　くるくると円を描くように擦られると、先程類としたキスを思い出してしまい、顔が一気に熱くなった。擦られる刺激が下腹部の奥まで伝わってくる様だった。 「っぁ、」 「口、開けたねえ？」 　しまった、と思った時には遅かった。 　唇の隙間に類の指が侵入してくると、舌を指で捉えられるのだ。 「えぅ、・・っ、？！」 「ちゃんと舐めてくれないと、痛いのは咲良ちゃんなんだよ？」 　舌の唾液を指に絡めるかの様に指の腹で擦られる。　口を閉じたいのに、類のせいで閉じられなく、舌の感覚だけが過敏になっていくのだ。 「ん、ん、ぁ・・っ、ぅ」 「あは、なに、苦しいの？それとも気持ち良くなってきた？でももっとだよ」 　きゅっと舌を挟まれ、開けっ放しの口の端から、たらーっと唾液が零れる。それを見た類が俺の上に覆いかぶさってきたと思えば、首にまで伝う唾液をぺろっと舐め上げるのだ。 　いつまでやらせるんだときっと類を睨むと、 「ふはっ、いーね、その顔。虐めがいがあるよ」 と笑った。 　ようやく指を引き抜かれ、やっと終わったと肩で息を繰り返していた俺は、何のために指を濡らしていたのか忘れていたのだ。 　類は俺の唾液を纏った指を、下腹部の奥に塗り込み始めた。 「ぁ、っ・・？！・・・や・・・、ッ」 「イヤ、なんて言っておいてさ、本当は期待してたでしょ？あんなにだらだら唾液垂らしてさ」 「し・・ッ、てる、わけ・・・・ッ・・んん、」 「ほら、意地張ってないでちゃんと俺の指味わってよ。・・・ん？」 　すると、円滑剤を纏った指が中に入ってくるのが分かるのだ。しばらく弄っていない内壁は、侵入してくる指を拒むかの様に類の指をきゅっと締め付ける。 「・・・ね、咲良ちゃんさあ・・、本当に処女じゃないわけ？中、すっごくキツいよ？」 「う、・・るさ、・・・っ、」 「・・あ、もしかしてあんまりシてもらってないの？・・こんなに感度いーのに可哀想だね。んー、でもこれじゃあ今日は入れるの難しそうかな？時間もないし」 「っ、入れなくて、いいっ、」 「んー・・、でもごめん、咲良ちゃん。俺ももう、限界なんだよねえ」 　えっ、と言おうとした言葉は出なかった。突然、生暖かい感触が股の間から感じたのだ。まさか、と思い顔を上げると、類のぱんぱんに膨らんだ性器が俺の股の間に乗せられていたのだ。 「っ、な・・にして・・・ッ」 「ね、咲良ちゃん。自分だけ気持ち良くなって終わり、なんて随分と都合良いと思わない？」 　言い終わると同時に、閉じた場所にぴとっと亀頭の頭をあてがわれてぎょっとした。まさかこじ開けて入れる気でいるのかと、一気に寒気がした。 「っま、て・・・、ほん、と、・・む、・・り、ぃ・・」 　俺の静止を無視し、ぐっぐっと亀頭を押し当ててくる類が恐ろしくてたまらなかった。その顔に、先程までの笑顔は、ない。 　怖い、怖い、朝日意外のものを受け入れるなんて、 朝日の顔が思い浮かぶと、つーっと涙が枕元を濡らした。すると、涙でぼやけた視界の奥、妖しく笑った類の顔が見えた。 　もう、覚悟を決めるしかないのか。くぷっと先が埋まった類のものから目を逸らすかの様に、きゅっと目を瞑った。