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08※

 那智はちらっと俺を見やると、困っている様子の俺を見てはまたも笑うのだ。  そして俺の腰に手を添えたと思えば那智は自らの体を仰向けに倒すと性器がさらに奥まで入り、カリが凝りをぐぐっと圧迫した。 「ーーぁッッ、」  俺の反応を見ながら、尻を掴み下から突き上げてくる那智は恍惚な表情を浮かべている。  両手で口を抑えなんとか声を殺すが、熱い腹の中を押されて腰が小さく跳ねながらも、ずりずりとした粘膜の擦れる音が扉の外にいる奴に聞こえるのではないのかと思い、俺は気が気でいられなかった。 「·····ああ、朝日か。どうした、こんな遅くに」  俺と繋がったまま平然と扉越しの朝日に返事をする那智に思わず冷や汗が出た。  その間も那智の酷く膨張した性器で腹の中を暴かれ、なんとか声を抑えなければと必死に口を押さえるしかなかった。  それにしても、白々しいにも程がある。要件なら分かっているだろう。  以前那智には類の前で犯されたこともある。そのことを考えるだけで寒気が止まらなかった。 「咲良が帰って来ないんです。何か知りませんか?他の奴にも当たったんですけど、誰も見てないって言うので」  すると那智は口を押さえている俺の手を取ると指をするっと絡め、 「咲良、自分で動いてごらん」 と囁くのだ。  ーー何を、言っているのだろうか。薄い扉の先には俺の恋人がいるんだ。  声が漏れた暁には俺もどうなるか分からないし、那智だって消される可能性は十分あるというのに。  無理だからとぶんぶんと首を振ると、那智は扉に視線を移すのだ。 「·····咲良、実は扉の鍵、開いてるんだ。·······言ってる意味、分かるね?」 「··········っ!!」  お前が腰を振らないと、朝日に扉を開けさせるぞ、ということだろう。  すると扉の奥から「那智先輩?」と返答が帰ってこない那智に対して朝日が問いかけてくるのだ。  そんな那智は 「ああ·····、すまない、今取り込み中でね」 と、ちらっと俺を見やるのだ。  ·····このまま俺が動かなければ、那智は朝日にバラすだろうな。  先程から急かすような那智の視線が俺を突き刺している。  こんな両手を掴まれている状態で声を我慢できるとは到底思えないが、やる以外の選択肢はもはやなかった。  手を絡め取られたまま自ら腰を動かすのはかなり恥ずかしい。気持ちのいい場所を探し、そこに自分から擦り付けるなんて。  その上、扉の先には朝日がいるんだ。朝日もまさか探している恋人が扉一枚挟んだ先で他の男に腰を振ってよがっているなど、思いもよらないだろう。  ·····とはいえ、この状況を朝日に見られるのはまずい。不本意だが、ここは那智の言う通りにするしかない。 「ーーっ、·····ぁ、·····ぁっ」  とりあえず腰を引き、なるべく声が出ないように腰を浅い位置で前後に揺すった。  ぬち、ぬちと控えめな音が響くが、浅いところへのじわじわとした感覚が、何度も達しているこの体には毒なようでびくびくと腰が甘く痺れてしまうのだ。 「·····業務が終わらないと嘆いていたから、もしかしたら生徒会室にでも泊まってるんじゃないか?」  しかしよくもまあそんな嘘がすらすらと出てくるなと関心すらしてしまう。あらかじめ回答を用意していたのかと思うくらいだ。  最近はアホっぽい言動が多かった那智だが、やはり地頭が良いことには変わりないのだろう。 「いや、それも考えたんですけど、連絡の一つも寄越さないなんておかしくないですか?」 「·····俺からも何回も連絡してるんですけど返事がなくて。·····まさか、何かに巻き込まれてるとか、」 「っん·····、·····ぅ·····っ、ぁっ·····」  すぐ近くに朝日がいる、バレたらやばい、その後ろめたさからくるのか、下腹部がどんどん熱くなっていくのだ。  ーーとはいえ、自分のペースで動けるので逆にこの体位で良かったかもしれない。これならなんとか声を抑えることができる、と思った時だった。 「·····駄目だろう、咲良。ちゃんと気持ちのいいところに当てないと」 「··········ひ、あ·····ッッ」  瞬間、手をぱっと離した那智に腰を掴まれると、口を押さえる間もなく浅い入口から凝りまでずりゅっ、と一気に串刺しにされてしまうのだ。  思わず出てしまった高い声にばっと口元を覆うが、もはや手遅れだった。  扉越しの朝日も「え、」と困惑しているようだった。 「ーー那智、先輩·····、」  いぶかしげな朝日の声が扉の先から投げかけられると一気に血の気が引き、俺は那智の上から動くことが出来なかった。

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