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ちょっと待て·····。もしそうなら生徒会に入る前の、脅されていた時と同じ状況じゃないのか。それは、それだけは·····、
すると朝日は少し考えた後に
「どうぞ、ご勝手に。俺にはもう関係ないことなんで」
と吐き捨てるのだ。
ーー瞬間、頭が真っ白になった。
「あ·····っ」
朝日、と入口に向かって手を伸ばす俺を制するかのように類はぐっと俺の腕を掴むのだ。
「あー、振られちゃったねえ。可哀想~」
「兄さん、安心して?朝日先輩の分まで可愛がってあげるからさ」
朝日に謝りたい、話がしたい。そんな俺をあざ笑うかのように、類や弥生に押さえ付けられてしまうのだ。
朝日はそんな俺をちらっと横目で見やるが、そのまま生徒会室から出て行ってしまった。
バタン、と無機質な音を立てて閉まる扉の音を合図に服を剥ぎ取られた俺はなすすべも無く、されるがままとなった。
***
「なあ、咲良ってなんで最近朝日と一緒にいないんだ?」
「お前知らないのかよ。あの二人別れたらしいぞ」
「その上咲良は生徒会辞めさせられたらしい。何かあったんだろうな」
「まじ?生徒会クビって相当だよな。·····ってことは、咲良って今フリー?俺告ってみようかな」
「やめとけ。どういうわけか、朝日以外の生徒会の奴らが咲良囲ってるっぽい。手ぇ出したらどうなるか分からないぞ」
「え、·····まじ?どういう状況かよく分からないが、とりあえずは関わらない方が賢明かもな」
「咲良ちゃーん、迎えに来たよ~」
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、ほどなくしてガラッと開いた扉から類が顔を出した。
最初はクラスの誰もが驚いていたこの光景を、もはや誰も気に止めてなどいなかった。
ーーもちろん、同じクラスにいる朝日でさえも。
こいつら生徒会が迎えにくるのは放課後だけではない。毎時間、休み時間ごとに誰かしら迎えに来ては生徒会室や空き教室に連れていかれ、犯される。それが日常だ。
こんな生活がいつまで続くのか皆目見当もつかないが、こいつらの気の済むまでさせてやるしかない。
ーー悪いのは、俺なのだから。
「·····じゃ、今日もよろしくねえ、咲良ちゃん」
「嫌って言っても無駄だろ、どうせ。·····好きにしたら」
生徒会室の長ソファーで押し倒された俺は制服を脱がされながら、露わになった肌に口付けられていた。
何度も犯され、もはや俺は抵抗もしなくなっていた。
今までセフレとして相手にしていた奴らに自分達の都合の良い時に呼び出され、奴らの気が済むまで付き合うだけだと、心を殺すしかなかった。
「物わかりいいねえ。ほんと、浮気さえしなければ完璧だったのに~」
「·····そういうのいいから。始めるなら始めて」
「わ、気ぃ強~。てか咲良ちゃんさ、自分の立場分かってる?·····ま、その威勢がいつまで続くか見ものだよね」
すると類の顔が近づいてくるのだ。キスをされると分かった俺は静かに目を閉じた。
そして類からの口付けを受け入れようとした時だった。
ーーガチャ
書類の束を手にした結城が入ってくると、類と俺に気付いた結城はあれ、お邪魔でした?とこちらを見やるのだ。
類はちっと軽く舌打ちをすると、結城はそんなことをお構い無しに俺達のこの状況を見ると、いいなーと呟くのだ。
「類先輩、俺も交ぜてくださいよ」
「あー·····、まじタイミング悪すぎなんだけど」
「·····ほんと、今回だけだかんね」
そんなため息混じりの類の言葉にやったと喜ぶ結城は、俺の目の前に来て顔を覗き込んでくるのだ。
失礼しまーす、と柔らかく口付けられ、何でもいいので早く終わって欲しい俺は静かに目を閉じた。
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