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「あ、お疲れ様~、二人とも」  二人に捕まった俺はそのまま生徒会室に連れ戻されることとなった。  そんな生徒会室では、俺が結城と弥生に捕まることを分かっていたからだろう、類と那智が待ち構えていたのだ。 「ーーで、咲良、なんでこんなことをしたんだ」  今俺はさぞ酷い顔をしていることだろう。こいつらが今どんな表情をしているのか恐ろしくて顔が上げられないほど、空気が重苦しくて堪らないのだ。  そして俺は那智や他の三人に囲まれ鋭い視線を浴びせられながらも、重々しく口を開いた。 「··········朝日が、構ってくれなかったから、寂しくて·········、」  すると俺の言い訳を聞いて誰もが呆れ返っている中、類がへえ、と呟くのだ。 「さぞ楽しかったでしょ。こっちは本気だったのにさ」 「·······ねえ、先輩、滑稽だったよね、俺が好き好き言ってたのはさ。先輩は俺のことなんてちっとも好きじゃなかったのに」  類に続いて結城も口を開くと、この空気感に当てられてしまった俺は、だんだん目頭が熱くなってきてしまったのだ。  そんな俺の様子を見る類は、はあ?と眉をひそめた。 「なに泣いてんの。泣きたいのはこっちだけど。いつか付き合ってもらえるって思ってたのに、まさかセフレの一人だったなんてさ」 「っ、ごめん、なさ·····」 「悪いことしたって思ってる?反省してる?」 「してる、してるから··········ッ、もう、しない、こんなこと·····、」  そんな俺を見る類はふーん、と冷たく吐き捨てると、扉の方を見やるのだ。 「ーーーだってさ。どうする?朝日くん」  ーー瞬間、体中の血の気が引いた。  するとガチャっと開いた扉から、冷たくこちらを見やる、恋人である朝日が入ってきたのだ。 「ーーっあ、」  朝日、と言いたかったのに、朝日の冷たい表情に言葉が詰まってしまった。  そんな俺を見た朝日は口を開くのだ。 「·····お前が、そんな奴だとは思わなかったよ」 「もう、ここには来なくていいから。二度と俺にその顔見せるなよ。虫唾が走る」  部屋にも来るなよ、と吐き捨てる朝日に、とうとう目に溜まっていた涙がぼろぼろと溢れてしまったのだ。 「言っとくけど、あんたらもあんたらだからな」  朝日は俺から類達に視線を移すと、ん?と類は首を傾げた。 「ね、朝日くん。それは責任転嫁って言うんじゃない?俺らむしろ被害者なんだよねえ」 「そもそもさ、自分の恋人をちゃんと見てなかった君の責任なんだよ?俺たちは咲良ちゃんに好きだなんだとかでたぶらかされた側なんだからさ」  すると類の言葉を聞いた朝日は何か少し考えているようだった。 「·····確かにそうですね。それは謝りますよ」 と深く息を吐くと、そんな朝日の様子を見た那智は 「類、誰が悪いとかはこの際、一旦置いておこう」 と類をたしなめるのだ。 「ーーなあ、朝日。咲良にもうここには来なくていいと、今言ったね。つまりは生徒会から外す、ということでいいかな」 「ーーっ·····!」  確かに、そういうことになってしまうのか。朝日、とすがるように見ると、俺と目が合った朝日はすっと視線を外すのだ。  そうですね、と小さく答えた朝日は俺の顔など見たくもないのだろう、出ていこうと入口の扉に手を掛けた。  そんな朝日に類はならさ、と呟くのだ。 「実質さ、それって生徒会クビってことでしょ?じゃ、この子は俺らの好きにしていいってことだよね?」  出ていこうとした朝日にそう投げかけると、朝日の動きがピタッと止まるのだ。  冷えきっている朝日の目は、静かに俺を捉えていた。

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