106 / 120
咲良と生徒会のゆかいな(?)日常/本編その後+a
ーー夏休み。
ある者は勉強に取り組み、ある者は部活動や恋愛に打ち込む夏季休暇のことである。
多くの者はこの夏休みに青春を謳歌するものだが、勉強や恋愛どころでない者がいるのも確かだ。
多くの生徒が夏休みを満喫している中、生徒会の面々は夏休み中でありながらも、休日を返上して黙々と業務に取り組んでいた。···············ように見えたが、実は咲良以外誰も集中できていなかった。なぜかというとーー
「·····なあ、今日いつもより暑くない?」
「ねー、溶けちゃいそうだよホント」
「兄さん、水分補給はちゃんとしないと駄目だからね?」
ほらこれ飲んでと、弥生から冷えたスポーツドリンクを受け取ると、喉が渇いていた俺は堪らず一気飲みした。
水筒に氷が入っていたから中身がキンキンに冷えていて、熱持った体内が内側から少しずつ冷えていくのが分かるのだ。
「ありがとうな、弥生」
「·····咲良、これ着てろ。冷たいし日焼け防止にもなるから」
朝日が俺に渡してくれたのは冷感のパーカーだった。触ってみると、普通の服より通気性が良さそうで、少しひんやりとしていた。
「·····確かにこの服冷たいけどさ、長袖だしこれは遠慮しておくよ」
「気持ちは嬉しいよ、ありがとうな」
と、受け取ったパーカーを朝日に返すと、朝日はそ、そうかと渋々服をバックに仕舞った。
そして、そんな咲良と朝日のやり取りを見ていた連中は、心の中で思っていた。
ーーいや、着ろよ、と。
この生徒会室は夏まっただ中でありながら、エアコンが故障してしまっていた。
窓は全開にし、扇風機は三台付けているものの、空間に漂う熱気が生徒会の面々のやる気を削いでしまっていた。
そして、面々がなかなか業務に専念できない理由はそれだけではなかった。
「あー·····、早くエアコン直んないかな」
うちわで顔をパタパタとあおぐ咲良に皆の視線が集まっていた。細い首筋に汗が伝い、袖口から覗き見える脇、そして淡く色付いた頬。
皆そんな咲良をちらちらと横目で見ていることから、業務が全く進んでいなかったのだ。
だから先程から咲良の体を冷やそうと飲み物を渡したりなどしているのだが、やはりその効果も一時的だ。
かといって、咲良にエロいからなんとかしろと言おうものなら顔を真っ赤にして怒られるだろうし、先程からあんま見んなと言わんばかりに朝日の視線が痛かった。
この状況に誰もが参っていた時だった。
ーーガチャ
「咲良ー、遊びに来たよー!」
ーー椎名。
以前咲良に色々やったことにより、朝日によって退学にさせられた咲良と朝日の元クラスメイト。
現在は親の会社を手伝いながらも、暇な時はこうして学校に来ては咲良にちょっかいをかけ、朝日にシバかれている。
「·····っちょ!咲良なにそのエロい格好··········ッッ!!」
「ーーーえ、」
椎名は入って来て早々に俺を指差すと、「あ」と俯いた椎名は咄嗟に足を内股にし、股を手で隠すのだ。
「やっば、勃ったんだけど·······ッッ?!!」
「ねえ咲良、なんだったら抜いてくれなーーーぶふぅッッ·····!!」
すくっと立ち上がった類はツカツカと椎名の元へ近づくと、「え、なに?」と椎名が類を見上げた瞬間、椎名のみぞおちを思い切り拳で突いたのだ。
ガクッと膝から崩れ落ちそうになった椎名を類は小脇に抱え、嵐のように現れた男はそのままつまみ出されてしまった。
そして、沈黙が生徒会室を襲った。そんな中、朝日が咲良をフォローしようとした時だった。
「··········俺っ、着替えてくる··········ッッ」
顔を真っ赤に染め上げている咲良はガタッと立ち上がると、朝日のパーカーを羽織ってバタバタと生徒会室を去っていってしまった。
「おい、一人で行くな咲良··········!!」
咲良を一人にできないそんな咲良を追って朝日も共に出ていった。
残された面々は無事業務に打ち込むことができたが、戻ってきた咲良は半袖半ズボンの体操着を来ていて、それはそれでエロくて無事全員勃起してしまうこととなった。
【終】
ともだちにシェアしよう!