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第3話

「まだ助かるかもしれないな」  右京はそう思い、少年の手足を伸ばし、楽な姿勢にさせた。肺の辺りを何度か押し、水を吐かせようとする。何度も繰り返すがなかなかうまくいかず、ため息を漏らす。胸を押しながら、この子はいったい何者なんだろうかと疑問に思った。  足は裸足で傷だらけ、破れたクリーム色の麻のシャツと、房のついた腰紐が結ばれた茶色のズボンの一部だけが、少年の体を覆っていた。  右京は、誰もいない海岸に視線を移し、力を振り絞った。  仕方ない、と思いながら、背中と膝裏に腕をさしこんで持ち上げた。少年の手足はだらりと垂れ下がり、右京は自分の屋敷へと向かった。

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